「わかりやすくはできていないかもしれませんが、物語的に濃いものをやらないとSound Horizonとして面白くないなと思っていたので、遠慮なくやった作品になりましたね。『自由への進撃』もSound Horizonとは違う手法ですが、世間的に考えれば一応ストーリー性のある作品でしたよね。ではそれを踏まえてSound Horizonって何だろうと考えると、楽曲により濃いストーリー性があって、そういう展開を持ったものを自分たちが物語音楽と呼んでいるんだよというのをちゃんとやりたい気持ちがありました」
音楽的には転調や変拍子が次々と登場し、「物語ありきでサウンドを構築した」という新作。「『これだ、これが俺たちのSound Horizonだ』って思ってもらえる要素は、いつもより意識したかもしれない」と語るRevoだが、Sound HorizonとLinked Horizonの違いは何なのか?
「僕の感覚では、Sound Horizonの物語性を薄めていけばLinked Horizonになるのに近いものはありますね。だから本当はLinked Horizonのほうが下位にいて、Sound Horizonのほうが上位みたいな状態なんですよ。純粋な表現力の性能としては。ただ、Sound Horizonが重すぎて受け容れられない人にとっては、Linked Horizonのほうが聴きやすいから、逆にこっちが上位にあるように感じられるかもしれない。売り上げ的にはそう思われても仕方ない」
Revoは、そうした音楽性を持つSound Horizonについて、「音楽に濃い物語性を求めている人は、まだそこまで多くない」と冷静に状況を分析しているが、同時に「誰も引っかからないような音楽を作ってるつもりはない」と、自信がある様子。「10人の前を一瞬通り過ぎて二度と聴かれなくなる音楽よりも、10人のうち2人がずっと聴いてくれる音楽のほうが幸せかな」と、自らの創作スタイルについて語っている。
◆『クイック・ジャパン』vol.110(2013年10月12日発売/太田出版)