黒柳さんには、ゲストの面白トークを何度も聞きたがることがよくあります。たとえば和田アキ子さんには「サイズの合わない靴の話」、野際陽子さんには「強盗に遭った話」、大沢たかおさんには「パリコレ帰りの飛行機の話」。彼らが出演するたびに同じエピソードを聞き、「何回聞いても面白いわね」と喜びます。
1977年の初登場から37年間、年末恒例のゲストだったタモリさんにも、毎回「密室芸」をリクエスト。インチキ外国語による「4か国語マージャン」や「7か国バスガイド」、そして「ヨーロッパ3か国のベッドシーン」のネタでは、セットにベッドルームまで特設。「ドイツの男は怒りっぽい」「フランスの男は自信喪失していて暗い」など、各国の男を演じるタモリさんを黒柳さんはベッドで待ち受け、そして笑い転げます。
一方で、面白くなければ笑わないのも黒柳さん流。有名なのは芸人さんがゲストのときです。「面白いものを見せていただきましょう」とハードルを上げたかと思えば、ネタが終わると「ああ、そうですか」で終わらせてしまったり、ボケに気づかずスルーしたり。黒柳さんにいつしかついた異名は「芸人殺し」というものでした。
“被害”に遭った芸人さんは数知れず、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)で数々の芸人さんがバッサバサと斬られていくシーンだけを集めた「徹子の部屋芸人」が組まれたことも話題になりました。
◆ケトル VOL.31(2016年6月14日発売)