ただ、実際調べるにあたって注意しなければならないのが、あくまでも数えるのは「げえっ」に限定するということ。
結論からいうと、こんなに印象的な「げえっ」は、あまり多くありませんでした。全体を通してたった20回。単行本で全60巻ですから、いかに少ないか。いや、これはむしろ「げえっ」が一度見たら忘れられない表現であることを証明しているといえるのかもしれません。
「げえっ」を発した人物別に見ていくと、もっとも多かったのは「一般兵士」の6回。やはり「やられ役」の定番の表現であるようです。ただ、兵士全員を同一人物と考えるわけにはいきませんから、こちらを「もっとも『げえっ』と言った人物」に認定することはできません。では、誰が1位なのかというと、全3回の曹操でした。意外と少ない? しかし「げえっ」に注目して読んでいくと、あることに気が付きます。
それは、曹操がほかのキャラクターに比べても、実に驚きの表現が多彩に描かれていること。
曹操がキングオブ「げえっ」であることからわかるのは、物語の主人公を輝かせるためには、いい引き立て役が欠かせないということ。「三国一の権力者」という強敵属性をしっかりまとった曹操が追い詰められ、見事に「げえっ」と狼狽してくれることで、主人公たちの活躍が輝くのです。その役割をしっかりまっとうしたからこそ曹操は、「乱世の奸雄」「天意の簒奪者」と非難されながらも、今も三国志で好きなキャラクターランキング上位の常連となっているのでしょう。
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