「もともとはEGOISTはTVアニメ『ギルティクラウン』内の架空のアーティストだったんですが、アニプレックスの方から『EGOISTもアーティスト化したら?』というお話があって。荒木(哲郎)監督も『やりましょうよ!』と言ってくれたので、開催中だったsupercellのボーカルオーディションの最終選考で全員にEGOISTの新曲も歌ってもらって、その中からchellyちゃんを選びました」
そのようなきっかけで生まれたというEGOISTだが、アニメ自体はすでに終了している。その後のEGOISTは、どのようなコンセプトのもとに継続しているのだろうか。
「荒木さんからも了承をいただいての継続だったんですけど、アニメ自体は終わっているので、以降は『もしもギルティクラウンとは違う楪いのりがいたとしたら?』というような設定を自分の中で作っています。あと、アニメ本編と同じように、『誰かが曲を作ってる』とか『いのりがなにかを想って歌ってる』という描写がない点は、忠実にトレースしなきゃいけない。なのでいのりと同じくなるべく自分というフィルターを通さずに歌ってほしくて、自分はchellyちゃんに歌詞や曲の成り立ちの説明は一切しません」
ryoの発言からは、chellyに全幅の信頼を寄せていることが分かるが、そもそも彼女を選んだ決め手は何だったのか?
「最終選考では、レコーディングでしか使わないような立派なスタジオにブースを作って歌ってもらったんですよ。普通だったら絶対ビビると思うんですけど、そのときトップバッターだったchellyちゃんがいきなりガーン!って思いっきり歌ってて、『すごいなこの子』って思ったんです。彼女は舞台度胸がすごくて、そもそもライブをやるアーティストじゃなかったのにライブをやることになってもできるし、ダンスの入ったMVやラップの曲もなんなくこなす。演者として必要な要素はすべて満たしているので、『ONE PIECE』で言うところの“○○の実”を3つをぐらい食べてるような印象はずっとありますね」
ベストアルバムはデジタルアルバムランキングで1位も獲得。ryoは「このいいチームとの次作を楽しみにしていただければと思います」と語っており、EGOISTが描く“いのり”の世界は、まだまだ続いていきそうだ。
◆『クイック・ジャパン』vol.135(2017年12月25日発売/太田出版)