「日本サンライズのスタッフとして、フリーという立場だけどよく出入りしている奴だからってことで、『何か企画はないのか?』って集められたのが最初で。確か、8月頃の夏場ですごく暑い時期だったと記憶している。
当時サンライズが借りていた6畳くらいのアパートの1室に集まって、みんなで車座になって『何かないかなー』って言っているという、本当にそういう感じ。当時は、『宇宙海賊キャプテンハーロック』なんかで松本零士さんも元気にやっていた頃で、“男のロマン”もやられちゃったし、SFもひと昔前みたいには売れないし。
毎日放送にも、『サンダーバード』で当たったジェリー・アンダーソンの名前使って企画を出したんだけど足もと見られて。SFはあまり売れないってことも言われていた。そういうのって、一朝一夕で変わるから、ちょっと前には『SFないか』なんて言ってたのが少し時期が変わると『SFはいらない』とか言い出したりして。だから、すごく低調な会議だったのは間違いないね」
とにかくグダーっとしており、「アレもダメ、コレもダメ」という状況だったと語る安彦。しかし、そこで話しを一気に進めたのが富野由悠季だったという。
「(会議で)何か言って恥をかくの嫌だから、適当な思いつきなんか言わないよね。そんな中で、次の会議に富野(由悠季)氏が意見を出してきて。
安彦は、富野の企画を読んだ時、「何が面白かったのかと聞かれるとわからないんだけど、とにかく何だかよくわからないから面白い」と思ったのだそう。結果的に「ガンダム」は大ヒットし、未来へと語り継がれる作品となったが、その船出は決して順風満帆ではなかったようだ。
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