「僕の高校時代は野球がすべてだったので、たくさん食べて、授業中は居眠りをして、練習のために体力を温存してました。そこまで強豪ではなかったし、今考えるとありえないんですけど、本気で『甲子園出場』『全国制覇』を目指してました。だからといって、めちゃくちゃ野球が好きだったかというとそうでもなくて。負けず嫌いだったのでずっとやってきた野球を止めるのが嫌だったんです。意地ですよね」
おかっぱ頭とクールな芸風から、文化系だったのかと思われがちだが、バリバリの運動部だったというバカリズム。高校3年生の時に練習をサボった事件は、今でも“青春の1ページ”として強く記憶に残っているそうだ。
「朝、監督がちょうどグラウンドに来るタイミングで、部室の窓から逃げて、近所のジャスコで一日中遊んでました。みんな一緒だし、今日が楽しければ謹慎処分になっても構わない、くらいの解放感がありました。仲が悪くはないけれど、そんなに一体になることはなかった同級生と、試合以上に団結できた。正直、人生で一番ワクワクしました(笑)。走って逃げながら、『すげえこれ青春ぽいよね』って言った記憶もありますし、当時の同級生に会ったときも『あれすげえ楽しかったよな』って話します」
3年の夏の大会では福岡県のベスト16まで進み、野球を続けたかったものの、大学のセレクションには受からなかったため、日本映画学校に進んだバカリズム。青春を捧げた野球部生活については、「楽しくはなかったですけど、あの時期に、多少のことでは動じない今の自分が形成されたとは思います」と、語っている。
◆『クイック・ジャパン』vol.139(2018年8月21日発売/太田出版)