「3歳ぐらいのときに、晩ごはんの時間におじいちゃんと一緒にNHKでの再放送を観たのが最初で。布団たたきを杖にして、紙でカードを自作して決めゼリフを唱えたりしてました(笑)。小学校に上がって少し経ってから、今度は同じくCLAMP先生原作の『ツバサ・クロニクル』のTVアニメがはじまって。それを観て『あれ? これちっちゃいころに観ていた作品のキャラクターと似てる』と思ったのがきっかけでハマってマンガを買うようになって、そこから『カードキャプターさくら』の原作も読むようになりました」
文字の描き方など、独特の表現の仕方に惹きつけられ、一瞬だけ漫画家を目指した時期には、CLAMPのイラストを研究したこともあったという鈴木。秋穂という新キャラクターは、ひとりの読者としてどんな印象を持ったのか?
「最初はすごくお嬢様で、品があって優しくて、穏やかなキャラクターだなと思いました。アフレコにあたって役作りのために一旦原作は読むのを止めてしまったんですけど、アニメが一区切りついてからはまた『なかよし』の最新号でアニメの先まで読み進めていて… …。原作の秋穂で特に印象的なのは、デフォルメされたときの顔がすごくかわいかったり、執事の海渡さんに対して表情がぱあっとなったりと、とても表情豊かなところですね」
現在連載中の「クリアカード編」のシリーズ累計発行部数も1700万部を突破。今後はどんな展開が待っているのか? 鈴木が少しだけ明かしている。
「CLAMP先生にアニメの打ち上げでお会いしたとき、『なぜみのりちゃんを秋穂にしたかは、これからの連載でわかるよ』って言われたんですよ。実はCLAMP先生、私の声を実際に聴いて秋穂役に選んでくださったとお聞きしているので、『単行本を待ってる場合じゃない!』と思って『なかよし』を最新号まで追いかけているんですが、打ち上げで理由を『歌ですか?』って聞いたら、『いや、歌じゃない』と仰っていて。声優としてはそう言っていただけたことがすごくうれしかったので、今後のストーリーもすごく楽しみにしています」
現在、東京・六本木の森アーツセンターギャラリーでは、『カードキャプターさくら展』が開催中(1月3日まで)。世代を超えた作品へと成長した同作の世界は、まだまだ多くのファンを魅了し続けそうだ。
◆『クイック・ジャパン』vol.140(2018年10月25日発売/太田出版)