今年復活したナンバーガールのベーシスト・中尾憲太郎は、「(惹かれた理由は)もう全部だよね」と語るほどの同作のファンだが、いったいどこに魅せられたのか? 雑誌『CONTINUE』(太田出版)で、このように語っている。
「細々した小道具とかが眩しく見えちゃうんだよね。TRPGは自分も学生時代やっていたから無条件で最高だし、そういった部分への説明がないってことは、物語の舞台としては正解だよね。それが当たり前の時代というかさ。問題はTRPGがわかるかわからないかではなくって『あのなんだかわからないファンタジーっぽいものを少年たちが夢中にやっている感じ』が大事なのかもしれないんだよね」
中尾は現在45歳なので、80年代は少年時代のど真ん中。彼がハマるのは理解できるが、それ以外の年代でも楽しめるはずだと、中尾は訴える。
「いまはTRPGはオンラインになっていたりするけど、実際『ストレンジャー・シングス』はTRPGだけじゃなくて自転車とかでもグッとくるわけだよね。『グーニーズ』も『E. T.』も、当時のBMXを見て憧れてたわけじゃない。そこは逆にいえば俺たちの楽しみ方が正しいのかっていうところはあるよね。制作陣がTRPGはレガシー文化だから傍から見たらわけわかんないものですよっていう見せ方にしたいのかもしれないし……そんな感じゼロだけど(笑)。
ネットフリックスだから全世界でタイムラグなく楽しんで大ヒットしているし、話題にもなっているんだけど『あの子たちがやっているのはなんだ?』って、TRPG復活とか80年代リバイバル的な話はちっとも聞かないからね(笑)」
新しさはないものの、全世界で大ヒット中の同作。中尾は、作中に出てくるTRPGに、中学時代は本当にTRPGにドハマリしていたそうだ。
「毎日学校で夜の9時くらいまで、先生から『おまえら帰れ!』って言われるまでやって。シナリオによるけどお城作ったり、軍隊とか税収とかもあって、そこまでいくと3時間とかで終わらないじゃない。中学校の3年間はそれしかやってなかったんだけど、そのときの仲間が散り散りになってTRPGから遠のいた感があるんだよね」
インタビューでは、「スティーブン・キング」「ツイン・ピークス」「クトゥルー」といった単語も登場。これらに敏感に反応してしまった人なら、必ずや楽しめる作品となっているようだ。発売中の「CONTINUE Vol.60」では中尾氏インタビューのほか、1・2シーズン各章の見どころを計24ページに渡って特集。これらもあわせて読むと、ますます『ストレンジャー・シングス』の魅力を理解できそうだ。
※CONTINUE Vol.60(2019年7月25日発売)