無駄な張り込みに時間を割き、蜂須賀(緋田康人)とともに時効管理課にちょっかいを出してくる自称「刑事課の若きエース」の十文字。同期の霧山へ突っかかり、彼がヒントを与えた事件を、無自覚にも自身が全て解決したかのように自慢してくるなど、「どこまでも残念」(by又来)な男です。空回りしがちな十文字ですが、仕事に対する美学と情熱は総武警察署内でもピカイチ。その熱意は彼のファッションにも強く表れています。
まず十文字のトレードマークといえば、いかにも刑事っぽさが溢れるトレンチコート。やや大きめのサイズを選んでいることから、『刑事コロンボ』でピーター・フォーク演じる主人公・コロンボが着用するダボダボのコートに憧れたのでは。実際彼の身振り手振りからは、コロンボからの影響がうかがえます。一方で2期第5話では「事件は会議室で起きてるんじゃない」と霧山にドヤ顔で告げるシーンもあったので、人気テレビドラマ「踊る大捜査線」からも影響は受けていそうです。
他にも、映画『アンタッチャブル』でケビン・コスナー演じる捜査官のエリオット・ネスと同じ靴を履いていたり、「刑事たるものマイグラサンの一つや二つ、バリッと決めてないとね」と『西部警察』の通称「大門サングラス」を忍ばせていたり。持ち物全てに刑事らしさを漂わせます。あらゆる刑事モノの作品から影響を受け、刑事としてのスタンスを見た目から吸収しているのです。
ちなみに『帰ってきた時効警察 オフィシャル本』のインタビューで、十文字を演じる豊原さんは「(トレンチコートは)ウチに一着ありましたがもう着られません」と話しています。
◆ケトルVOL.50(2019年10月16日発売)