たとえば、講談社文庫は同社のロングセラー『マザー・グース』の一節に、イラストレーターの和田誠さんの挿絵を添えたデザイン。その歴史は古く、「いつ始まったのか編集長でさえわからない」なんて話もあるようです。それだけに、講談社文庫と言えばこの栞をイメージする人は多いでしょう。
定番と言えば文春文庫もそのひとつ。中世ヨーロッパを思わせる版画風のイラストが不思議と印象に残るこの栞も、長年親しまれています。一方で、2017年に誕生したイメージキャラクター「よまにゃ」をメインに据えた色鮮やかな栞を展開するのが集英社文庫。栞を新キャラクターのPRに活用する戦略が窺えます。
また、岩波文庫は言葉の意味を『広辞苑』から抜粋した連載になっていて、「読める栞」として楽しませているのが特徴です。
◆ケトルVOL.55(2020年8月17日発売)