「民主主義の危機」というフレーズを最近よく耳にしますが、そもそもどういう意味なのでしょうか。それがなぜ歓迎されざるべきことなのか、私たちは明確に言葉にできるでしょうか。
ここでは、本書から一部をご紹介していきます。(全6回)

日本もかつて全体主義国家になった
日本は明治維新以来、欧米に学んで近代国民国家の建設を進め、1890年(明治23)には、天皇を中心とする立憲君主制の大日本帝国憲法が施行されました。選挙権は男性のみなどの制限はあったものの、民主主義体制がしかれたのです。しかし、1925年(大正14)に治安維持法が制定された頃から国民の監視が強まり、1937年(昭和12)に日中戦争が始まると、翌年に国家総動員法が制定されて軍部主導の全体主義国家に変貌し、第二次世界大戦に進みました。
第二次世界大戦はドイツ・イタリア・日本の枢軸国とアメリカ・イギリス・フランス・中国・ソ連の連合国を主軸とする戦争で、1939年のナチス・ドイツ軍のポーランド侵攻によってヨーロッパで始まりました。

アメリカは外国の戦争には関与しないことを伝統としていましたが、1941年12月、日本の突然の真珠湾攻撃で2000人以上の死者が出たことで、世論は一挙に開戦に動き、全面的に参戦しました。
国力に劣る日本は、しだいに敗色を濃くします。そして民間人を含む多くの犠牲者を生んだにもかかわらず、強まった軍部独裁体制のもとで戦争を止めることは誰にもできず、1945年8月の敗戦を迎えました。
ヨーロッパでは、西部戦線ではイギリスやアメリカ、東部戦線ではスターリン独裁のソ連とヒトラー率いるドイツが戦い、死者数千万もの激しい戦闘が行われました。ドイツの国力は疲弊し、1945年5月に敗戦。その後、ソ連中心の社会主義陣営とアメリカを中心とする自由主義陣営が対立し、「冷戦」の時代を迎えます。
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インフォビジュアル研究所