同町西表島にのみ生息しているイリオモテヤマネコは国の特別天然記念物で、絶滅危惧種に指定されている。日本とフランスの展示テーマの一つに「生物の多様性」が掲げられていることから、在京都フランス総領事館から昨年7月ごろ、町に展示の協力依頼があった。これを受け町は、主に野生動物をモチーフに活動する東京都の彫刻家、瀬戸優さん(30)に制作を依頼した。
制作に6カ月間を要した銅像は重さ約8キロで、塗料やろうでコーティングされている。暗闇に擬態したイリオモテヤマネコが月明かりに目を光らせる凜(りん)とした姿が際立つ作品で、タイトルは「夜の森にて」。
瀬戸さんは「腹をすかせ、静かに獲物を探している様子を表現した。作品を通じて絶滅危惧種というものに理解を深めてほしい。美術家としては、はかなくも美しい『ときめき』を感じ取ってもらえたらうれしい」と話した。
前泊正人町長は「個人的には町長室に置いておきたい」と瀬戸さんに笑顔で感謝。「万博で多くの方の目に触れて、町を知ってもらうきっかけになってほしい」と期待した。