被害に遭ったのは、火災の発生時にポンプ車がホースを接続する「連結送水管」と呼ばれる消防設備で、消防法で7階以上の建物などに設置が義務付けられている。
送水口に直径約15センチのふたがあり、鎖でつながれていたが、切断されて12個中8個が盗まれていた。ビルを管理する「久茂地都市開発」によると、被害は約27万円に上る。
同社の宮里浩業務部長は「ビルが建って約30年になるが、まさか送水口のふたが盗まれるとは思わなかった」と驚きを隠さない。ふたがないと送水口にごみが入ったり、傷付いたりすることがあり、消火活動の遅れにつながる恐れがある。宮里部長は「大変危険。許されない」と話した。
那覇市消防局予防課によると、ふたのない送水口にごみが詰められ、消火活動に支障を来した事例もあったという。
金属類の盗難は全国で相次いでいる。佐賀県では昨年12月、消火栓ボックス内にある金属製の消防器具が101本盗難に遭った。愛知県では公園の水飲み・手洗い場の蛇口計61個が水道管から盗まれた。
県内で鉄の買い取り・販売を手がける「一琉興業」によると、鉄の買い取り価格はここ2、3年で約2倍に上昇している。
那覇署は「同様の被害を確認したらすぐに通報してほしい」と呼びかけ、リサイクル業者にも不正品の買い取り防止に協力を求めている。(社会部・垣花きらら)