特に最近は、SNSを通じて投資を呼びかける「投資詐欺」や、相手の恋愛感情を利用して高額なお金を指定の口座に振り込ませる「ロマンス詐欺」が増えている。
県警によると、2024年の県内の投資詐欺とロマンス詐欺の被害件数は前年より89件多い132件で、過去最多となった。そのうち投資詐欺は94件で、被害総額は約9億7800万円。ロマンス詐欺は38件、約4億2500万円で、平均被害額は1千万円以上に上る。
家族や親戚を装ってうその電話をかけ、金をだまし取る「おれおれ詐欺」などの特殊詐欺は、高齢者が狙われることが多かった。
だがSNSを介することで、若者や働き盛りの中高年など被害層は広がっている。手口も巧妙かつ複雑化している。
糸満署管内では、シンガポールに住むという男性から結婚資金をつくろうと誘われた女性が3800万円を振り込んだ。フェイスブックで知り合った人物から投資を勉強しようと持ちかけられ、680万円をだまし取られた男性もいる。
どちらもLINEに誘導され、何度も連絡を取り合っていた。日数を重ねてやりとりするうちに信用してしまったのだろうが、顔も知らない相手に深入りする前に、一度立ち止まっていればと悔やまれる。
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全国でも被害は急増している。
警察庁によると、SNSを介した投資・ロマンス詐欺と特殊詐欺の被害総額は24年に約2千億円で前年比の2・19倍と、過去最悪だった。
インターネットバンキングを悪用したSNS型詐欺はやりとりがネットで完結するため、家から銀行まで電話で誘導する従来の特殊詐欺に比べ加害者のリスクが小さい。一度に高額をだまし取ることも可能で痕跡も残りづらいのが問題だ。
拡大する被害を減らそうと、国は昨年「国民を詐欺から守るための総合対策」を策定し、健全な投資環境の整備や被害防止に向けた注意喚起を行っている。
SNS事業者も記事や広告の事前審査をより強化して偽の投資サイトへの誘導を防ぐなど、警察とも連携した取り組みが必要だ。
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被害者の中には、お金を失った悔しさだけでなく、自責の念から自己嫌悪に陥る人もいる。家族や友人に話してもばかにされるのではないかと悩んだり、財産を失ったことで将来に不安を抱いたり。心に負った傷は深刻だ。
被害に遭った人を「なぜだまされた」と責めるのではなく「自分も被害に遭うかも」と危機感を持ち、怪しいメールなどは無視することが重要だ。そして少しでも不審なやりとりがあれば、まずは家族や友人、警察に相談してほしい。