都市部への人口流出や集中、それに伴う農山漁村の過疎化は全国的な問題である。
 復帰後進められてきた政府の沖縄振興の柱の一つが本島北部と離島の振興だ。
県政の重要課題でもある。
 しかしこの間、都市部との「人口格差」は広がっている。担い手不足で行政サービスの遂行に支障を来す自治体も出るなど、急激な過疎化は「地域間格差」にもつながっている。
 こうした格差をどう是正するのか。予想より早く県内でも人口減少が始まっている。これまでの施策を総点検し、抜本的に対策を講じる時だ。
 本紙の県内41市町村アンケートで、直近10年間の人口が「減少傾向にある」と答えたのは約半数の20市町村に上った。ほとんどが北部と離島の町村だ。
 「増加傾向」と答えたのは16市町村で中南部に集中している。「増加も減少もしていない」としたのは5市町だった。
 人口が減少傾向の自治体が改善の重要度が高いと考える事案としてまず挙げたのが「住宅の不足」だ。資材などの運搬コストがかかる離島で建築費用は高額になり、特に若者の移住や定住の足かせとなっている。

 住宅地などの開発の余地が少ない自治体は「空き家・空き地」問題を重視する。
 集落の空洞化につながるだけでなく、老朽化による倒壊の危険性や、地域の魅力低下の要因にもなっている。公営住宅の整備や空き家の利活用などは急務である。
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 県も対策を急ぐ。第6次となる2022年度から10年間の新たな離島振興計画では、対象を18市町村とした。
 宮古や八重山といった圏域にこだわらず、初めて「交通や子育て」「観光や農林水産業」「医療」など抱える課題ごとに共通の特性を持つ離島をグループ化して、それぞれに合った施策を推進する。
 今月の所信表明でも玉城デニー知事は離島振興について「引き続き県政の最重要課題」と位置付けた。
 交通・生活コストの負担軽減など従来の取り組みに加えて、市町村や関係団体とも連携して「持続可能な行政サービスの提供体制の構築」に取り組む考えを示した。
 人口が「増加傾向」とする離島も将来の人口減少を不安視している。県は危機感を持って取り組んでほしい。
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 政府は25年度の沖縄関係予算でソフト交付金を充てていた離島振興などの計3事業を切り離し、国直轄にした。
 離島住民の移動費の負担を軽減するため、海路と空路の運賃の一部補助などを確保する。

 ただ、人口減少時代にあって、それぞれの地域の問題解決を、その自治体だけに任せるやり方では均衡ある県土の発展を達成することは難しい。
 県も含め全ての自治体の参画の下、地域振興の戦略を再構築することが求められる。 
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