同グループは県内で7園を運営。
グループに対する調査は続いており、残る企業主導型の2園を含めると不正受給額はさらに膨らむ見込みだ。刑事告訴の動きも出ている。
宜野湾市の2園と浦添市の1園に対し、両市は3月から1年間、新規の園児受け入れを停止する行政処分を行う方針だ。処分通知書では、保育士を水増しして虚偽申請したり、一般指導監査の際に職員の出退勤簿やシフト表を捏造(ねつぞう)したことが指摘された。
園の元代表は取材に対し「意図的な不正や私的流用はない」と説明していた。しかし県の調査で、保育士の筆跡をまねて雇用契約書を作成したり、園に近い住所を偽って書いたりしていたことも発覚しており、巧妙な手口にも映る。
不正はいつ始まったのか。誰が主導したのか。受け取った公金は何に使われたのか。さまざまな疑問が出ている。
保育の信頼を取り戻すためにも、不正の実態を明らかにする必要がある。自治体や警察などによる徹底的な調査と捜査を求めたい。
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認可園の管理者である各自治体は、延べ千人にも上る保育士の水増し申請に、なぜ気付くことができなかったのか。
県によれば、複数自治体にまたがる保育園の不正発覚は初めてのこと。施設単位で書類が整備されていれば、別の施設や自治体と照合することもなく、虚偽の申請などがあっても発覚しづらいという。
とはいえ、総額1億円以上も支払い続けてきた市の責任は大きい。
公金を取り扱う自治体として、不正を防ぐ仕組みをいかに構築していくか。より丁寧な調査とチェック体制が必要だ。
行政監査の在り方を改めて見直すなど、再発防止に向けた対策の強化が不可欠だろう。
そもそも、園児の人数に対し保育士の数は足りていたのか。基準を満たす保育士が確保できていないにもかかわらず、虚偽申請した上で少ない人数で運営を続けていたとすれば深刻だ。
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保育園では小さなミスが、けがや事故につながりかねない。
待機児童が多い沖縄で、保護者が安心して働くためにも、子どもが安全に過ごせる保育園の役割は大きい。園に残る子も別の園に移る子も、適切な保育が受けられるよう、十分配慮してほしい。