銀天街周辺で生まれ、小中高時代を過ごした島田さんは琉球大、琉球大修士課程、九州大博士課程に進んだ。九大で博士論文の研究テーマを絞ることができず悩んだ。その頃、アルバイトで子どもたちに科学の素晴らしさを伝えるイベントに出合い、いつか沖縄でも開く夢を温めてきた。
その準備として、多くの科学者を知る人脈をつくることから始めた。九大博士課程を退学して2007年、東京の自然科学の出版社に編集記者として就職。科学専門書の出版社を経て19年に沖縄に帰るまで、91冊の科学関係の専門書を編集した。
23年4月、思い描いていた「サイエンスカフェ」を銀天街の空き店舗に開設。「子どもたち、大人も含めて著名な人の話を聞き、科学の不思議さや面白さに接してほしい。進学塾ではないので、子どもも付き添いの親も楽しんでくれれば」がモットーだ。毎回の定員は、質問しやすい規模の30人にしている。
2月16日、第32回セミナーでは三重大の湯田恵美教授(42)が「生体信号解析の挑戦-生体計測技術とその社会的応用」のテーマで講話。「心電図を使って心臓の動きを記録し、よく機能しているかを調べている」と分かりやすく説明した。
動く心臓の画像に見入った宜野湾市の小林蓮さん(6)は「心電図検査で、どうしてジェルを塗るのか」と質問。湯田教授は「超音波を通しやすくするため」と答えた。父の史弥さん(44)は「参加は2回目。子どもにはいろいろな有名な先生方の話を小さい頃から聞かせたい」と述べた。
同席した琉球大講師の小林理気さん(42)は「いろいろな話を聞いて、将来の選択の幅を広げてほしい」と感想を述べた。
島田さんは「私の仕事は、科学の道へ進むきっかけをつくってあげること。いつかここからノーベル賞受賞者が生まれたらいい」と期待を込めた。
