東日本大震災から14年となる。
 巨大地震は大規模な津波災害や原発事故も引き起こした。
死者1万5900人、行方不明者は2520人。発生当初の避難者は約47万人と推計されている。
 「壊滅的」といわれた場所も今は道路が整備され、住まいの再建も一段落した。インフラなど社会基盤は整いつつある。一方、約2万8千人が今も避難を強いられている。被災者の生活再建はまだ道半ばだ。
 2025年2月1日現在、福島・宮城・岩手3県内の避難者は計5968人。対して関東への避難者は1万2466人で、大半が被災県外へ避難したままだ。沖縄にも144人おり、今も全国に散らばっている。
 十数年にわたる避難生活の悩みはさまざまだ。
 震災後、毎年避難者調査を実施する山形県。直近の調査では半数近くが「生活資金」「自分や家族の身体の健康」を不安視していることが分かった。

 調査では避難先に長くとどまっても定住先に悩む姿も浮き彫りとなった。
 「今後どこで生活するか未定」と答えた世帯は前年から10ポイント近く増え、初めて2割を超えた。「元の県に戻りたい」との回答も増え約13%に。
 「定住したい」「もうしばらく山形で生活したい」との回答は計約6割だった。過去3年間を見ると毎年減少している。
 子どもが進学や就職で県外に出るなど世帯の変化や、親世代の高齢化などが表面化している。
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 県外への避難で圧倒的に多いのは福島県からの避難者だ。全体の約9割を占める。
 同県はいまだに7市町村の一部に帰還困難区域が残る。放射線の懸念から避難先にとどまる人も多い。
 避難者が帰れない・帰らない理由は何か。どんな支援を必要としているのか。
国は避難者の実態把握も進めるべきだ。
 大規模災害や複合災害では避難の長期化が顕著となっている。石川県では能登半島地震と昨年9月の記録的豪雨で、24地域の231世帯が「長期避難世帯」に認定された。
 東日本大震災では避難先の自治体で住宅や仕事のあっせんなど生活基盤を整える支援策がとられた。能登半島地震の被災者に対しても不安を取り除く施策を求めたい。
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 被災地のコミュニティー再建も課題だ。
 東日本大震災の被災3県の人口は震災前と比べ岩手で14%、宮城4・4%、福島は14・1%減少した。若年層や子育て世代が地元を離れる動きが加速化しており、地域の高齢化に歯止めがかからない。
 国は5年ごとに復興事業を更新。26年度以降の復興事業について3県と協議している。今後は心のケアや避難者支援などソフト面に重点を置いた施策が欠かせない。
 大規模災害はどこでも起こり得る。
全国どこでも被災者を孤立させない取り組みが必要だ。  
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