[男性育休のススメ](下)
 男性の育児休業について学び、考える16日のイベントで、登壇する社会保険労務士法人TIS所長の玉城巖さん(44)に男性育休や国の制度について聞いた。(聞き手=社会部・勝浦大輔)
 -育休に関する国の制度は。

 「1992年に育児休業法(現育児・介護休業法)がスタートした。当時の日本は『寿退社』という言葉があったように、結婚して出産したら職場には戻って来ないというケースが多かった。労働力損失の対策が前提だったと思う。法の施行から30年以上がたち、社会も変わり、女性の育休取得率は伸びた」
 -国は男性の育休取得を推奨している。
 「少子高齢化が進む今、男性も育休を取って夫婦2人で子育てしないと子も増えていかないとの考えになっている。同法は施行から30年で10回以上は改正され、最近は男性の育休取得促進に主眼が当てられている」
 -4月から新たに「出生後休業支援給付金」が創設される。
 「夫婦共働き、共育ての推進のため夫婦それぞれが14日間以上の育休を取得することを条件に、最大28日間給付される。これまでの育児休業給付金と併せると、育休取得前の給与の手取り額に相当する」
 -手厚くなる給付金は、男性育休取得の促進につながるか。
 「収入面の補助は、国はこれまでも実行してきた。収入を減らしたくない労働者と、労働力を失いたくない雇用側の双方の思いが相まって、男性の育休取得が進まない面もあるはずだ」
 「一方で、どんなに制度を整備しても、所属する組織の助け合う文化の醸成や仕組み、男性が育休を取ってもいいという環境づくり、トップの意識などが整わないと、男性の取得は進まないと思う。一番必要なのは『理解』だ。給付金の新設も、その後押しになることに期待したい」
 -厚生労働省の2023年度調査では男性の育休取得率が初めて3割を超えた。

 「私たちの顧問先でも、男性の育休取得が増えている実感がある。半年間や1年間取得した人もいる。業種の違いで取得に差があるというよりは、事業主が『本人の希望なので協力したい』という思いがあるから取得につながっている印象だ。やはり理解ですね」
3月16日にイベント
 「~パパと一緒に育てる未来へ~育休から始まる家族の時間」は16日午前10時~午後0時半、県立博物館・美術館で。主催は県こども未来部女性力・ダイバーシティ推進課、受託事業者はうなぁ沖縄・沖縄タイムス社共同企業体。座学・実践ワークショップやトークイベントがある。定員40人。申し込みは下記のフォームから。
 
男性の育休、周囲の「理解」が一番重要 給付金新設で後押しを期...の画像はこちら >>
男性の育休、周囲の「理解」が一番重要 給付金新設で後押しを期待 社会保険労務士の玉城巖さんに聞く
編集部おすすめ