513グラムの超低出生体重児で生まれた渡邉陽亜瑠(ひある)さん(15)=沖縄県読谷村=が4月から高校生になる。13日には検診のため県立中部病院を訪れ、成長を見守ってきた小児科の木里頼子医師に中学卒業と高校入学を報告。
母の直美さん(51)が「先生にたくさん助けられました」と感謝を伝えると、木里医師から「生まれた時から見てきた。ここまで成長してくれてうれしい」と祝福を受けた。(中部報道部・比嘉大熙)
 陽亜瑠さんは2009年7月24日、予定より5カ月早く生まれた。心肺停止の状態ですぐに新生児集中治療室(NICU)へ。退院したのは5カ月後だった。肺が未熟なまま生まれたことで慢性の肺疾患を抱えていた幼少期は、何度も肺炎を患い入退院を繰り返した。在宅酸素療法を行っていたこともあり、3歳までは外に出かけるのも一苦労だった。
 出産前は大学の非常勤講師だった直美さんは、3年近く陽亜瑠さんを付きっきりで看病。「あの頃は一日一日を生きることだけ考えていた。未来を想像することができなかった」と話す。小さい体で生まれたことで同級生より成長が遅く、言葉を話すようになったのも2歳8カ月ごろ。頭では分かっていたものの「なかなか言葉を話さなかったので親としても焦りがあった」と振り返る。

 当時は医療的ケア児という言葉はなく、今ほど頼る場所や低出生体重児を預かる施設が少なかった。なんとか預かってもらえる保育園を見つけ、直美さんも仕事に復帰。大学で教壇に立ちながら子育てに励んだ。「助けてくれる人がいたから仕事と育児を両立できた」と周囲に感謝する。
 ゆっくりながらもすくすく育った陽亜瑠さんは、勉強とスポーツが両立できる沖縄カトリック高に入学する。中学から始めた卓球では「県大会ベスト32に進出したい」と意気込み、勉強では「歴史が好きで沖縄と関わりのある台湾の歴史を現地に留学して学びたい」と、春から始まる高校生活を心待ちにしている。
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