琉球史の研究に貴重な資料
 国の文化審議会(島谷弘幸会長)は21日、琉球王国の士(サムレー)の家系に関する諸記録の「琉球家譜、琉球家譜関係文書、附(つけたり)系図箱」(県所有1件、那覇市所有1件)と、首里王府統治下の八重山島(現在の石垣島)で頭役を輩出した宮良殿内家に伝わる「宮良殿内家関係資料」の計3件を、重要文化財(重文)に指定するよう阿部俊子文部科学相に答申した。今年の秋ごろまでには指定され、県内の国宝・重文は計45件となる見通し。


「毛姓家譜 譜久村家(表紙)」(県立博物館・美術館提供)

 家譜などは県所有の「琉球家譜」25冊、「同関係文書」21通、「附系図箱」2合の資料群と、那覇市所有の「琉球家譜」45冊、「同関係文書」130通、「附系図箱」5合の二つの資料群が個別に指定される。
 家譜は士の家系に関する記録で門中ごとに姓を定めて編さんされ、先祖と子孫とのつながりを示す「世系図(せいけいず)」と先祖の勲功や履歴を示す「紀録(きろく)」を合わせたもの。関係文書は家譜に記載される内容の裏付けとなる生子証文(しょうししょうもん)や片髪結願書(かたかしらゆいねがいがき)、琉球国王朱印状などがある。
 琉球家譜と関係文書は王府の組織や行政、王国の身分制度、東アジアの系図文化を考える上で重要とされている。とりわけ旧士族の家々が大切に守り伝えた文書群であり、琉球史研究上貴重な資料と評価された。

琉球国王朱印状(蔡姓家譜関係)(県立博物館・美術館提供)

 宮良殿内家関係資料は、八重山島で在地役人の最高職位である頭役(かしらやく)を務めた人物を複数輩出した宮良殿内家伝来の資料群。文書・記録類233点、典籍類101点、絵図類14点の計348点で、質量ともにまとまっている。
 これらは、八重山島の歴史や琉球国の離島支配の実際、同島士族層の教養のありさまや生活文化の具体などを知る上で貴重であり、琉球王国の政治史・文化史上、学術価値が高いと認められた。

琉球家譜「譜代貝姓家譜正統(系図)」(那覇市歴史博物館提供)

 玉城デニー知事は「戦禍によりあまたの史料が失われた中、守り伝えられた貴重な文化財であり、今後も保存・教育普及に努めていきたい」とコメントした。(社会部・知念豊)

琉球家譜関係文書「生子証文(出生届)」(那覇市歴史博物館提供)
宮良殿内家関係資料「頭役被仰付候以来日記」(琉球大学付属図書館提供)
宮良殿内家関係資料「八重山嶋江一世流刑手形」(琉球大学付属図書館提供)
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「毛姓家譜 譜久村家(表紙)」(県立博物館・美術館提供)">
王国時代の士族の家系図「琉球家譜」 石垣島で高級役人を輩出した「宮良殿内家」の関係資料 計3件が国の重要文化財に
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