県が米ワシントン事務所を株式会社として事業者登録していた問題で、県監査委員(渡嘉敷道夫代表監査委員)は3日、監査結果報告書を県議会の上原章副議長に提出した。監査では米事務所の銀行口座について「全ての入出金の内容を確認できなかった」と指摘。
玉城デニー知事に対し、入出金の内容を明らかにするよう勧告し、来年3月末までの対応を求めた。
 監査委員事務局によると、勧告に法的拘束力はない。ただ、地方自治法で勧告を受けた知事は「勧告に基づき必要な措置を講ずるとともに、当該措置の内容を監査委員に通知しなければならない」とされており、尊重義務があると説明した。
 報告書では、米事務所の入出金に関し「銀行口座の履歴において入金者(または出金先)の具体的な記載がなく、その内容を確認できなかった」と意見。設立当初から会計帳簿が作成されていなかったとし「取引の内容を詳細に確認できなかった」と問題点を挙げた。
 2015年の事務所設立に当たり、起案文書を作成せず、事務決裁規定で定めた意思決定手続きを行っていなかったことも「著しく適正を欠く事務処理」と批判。取得した株券の扱いや駐在職員の営利企業従事許可を怠っていた点についても「不適正な事務処理」と認定した。
 報告書には監査委員として意見も付けた。不適正な事務処理が行われた原因として、県庁内で事前の検討が十分行われず、駐在職員と委託業者任せの状態だったなどと分析。内部統制の観点からも改めて検証する必要があるとした。
 今後の米国での活動に当たっては「関係法令に適合し、経済的、効果的なものとなるよう十分に留意し、県民の信頼を損なうことがないよう、適切な事務処理を行うことを強く望む」と強調した。(政経部・嘉良謙太朗)
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