今年の沖縄地方の梅雨明けの発表は6月8日となり、平年よりも13日早く、昨年と比べて12日早い梅雨明けとなりました。
今年の梅雨明けは過去最早と同日
 1951年からの梅雨の統計では、2015年の6月8日の最早の梅雨明けと同日となっています。
今年は上空の偏西風が平年よりも北側を流れて梅雨前線が本州付近まで北上して梅雨の戻りがなかったこと、沖縄地方への太平洋高気圧の張り出しが強まったこと、当時フィリピン付近にあった台風の卵による沖縄地方への大きな影響がなかったことなどが、梅雨明けが早まった要因と考えられます。

2025年6月8日午前9時の実況天気図 ※ウェザーマップ

 今年の梅雨の期間は17日間で、過去2番目の短さとなりましたが、梅雨期間が最も短かった年を振り返ると水不足が顕著な年でした。

梅雨最短だった1963年は給水制限
 沖縄地方の最も短い梅雨の期間は1963年で6月4日に梅雨入りし6月15日に梅雨明けをした11日間となります。
 この年は記録的な低温となったいわゆる昭和38年の“サンパチ豪雪”の年で、現在の平年値で見ると、当時の沖縄は年間を通して気温は低く雨が降りにくい年でした。
 当時の沖縄タイムスの記事にもドライアイスによる“人工雨作戦”が記載されています。

水不足の対策としてドライアイスをまく米軍の人工降雨作戦を伝える1963年5月11日付夕刊

 また、沖縄県企業局ホームページの“給水制限の歴史”に、以下の記載がありました。
 日照地獄の沖縄の現状に、日本本土から続々と「友情の水」が送られてきた。6月1日、那覇丸で鹿児島から40立方メートル、同2日、波之上丸で250立方メートル、同4日、富士丸から80立方メートル、同じく沖縄丸で100立方メートル、5日には名瀬から150立方メートルが、9日には日石タンカーから120立方メートル、波之上丸200立方メートル、黒潮丸から50立方メートル等と、連日新聞報道されたのも1963年の大干ばつであった。その頃、水洗トイレの水の確保に困り果てた米軍は、海水をトイレ用水として利用した。
 嘉手納町水釜、北谷町北前、浦添市勢理客の各海岸に海水を揚水するためのポンプ小屋を設置し、キャンプズケラン、牧港補給施設に各々6インチパイプを応急的に布設し、各部隊内に共同栓が設置され、各人が水缶で、あるいはタンクローリー車で海水の給水を受けて、水洗トイレに使用したのである。米軍の機動力を最大活用した、記憶に残る大渇水であった。
ー給水制限の歴史ー
出典元 沖縄県企業局ホームページURL(https://www.eb.pref.okinawa.jp/opeb/25/28)
 今年の梅雨期間の雨量は、沖縄本島では那覇で平年の雨量を上回りましたが、名護では平年を下回っています。
ダムが集中する本島北部の雨が気になるところですが、6月13日現在、沖縄本島の合計11ダムの貯水率は91.4%となっています。今後の台風の雨の降り方が重要となりますが、災害への備えも必要となってきます。

2025年の沖縄地方の梅雨期間資料 ※沖縄気象台資料より抜粋・加工

この先も“高気圧が雨雲をブロック”
 6月後半にかけての各地の天気と気温の予想を見てみましょう。
 この先は、夏の太平洋高気圧が沖縄付近を広く覆う予想となっています。湿った空気の影響を受けにくい気圧配置となり、晴れる日が続きそうです。この時期の平年の気温を上回る暑さが続きますので、熱中症への対策が必要です。

那覇の6月29日(日)にかけての天気と気温予想 ※6月13日(金)午前11時、ウェザーマップ発表
宮古島の6月29日(日)にかけての天気と気温予想 ※6月13日(金)午前11時、ウェザーマップ発表
石垣島の6月29日(日)にかけての天気と気温予想 ※6月13日(金)午前11時、ウェザーマップ発表
南大東島の6月29日(日)にかけての天気と気温予想 ※6月13日(金)午前11時、ウェザーマップ発表

14日は不安定な天気に 15日は回復
 6月13日(金)現在、熱帯低気圧が台湾付近を北上していますが、14日(土)には熱帯低気圧は消滅する予想です。ただ、熱帯低気圧が湿った空気を残していくため沖縄付近はザッと雨が強まることがありそうです。
沖縄本島地方・大東島地方の予報 ※6月13日(金)午前11時、ウェザーマップ発表
宮古島地方・八重山地方の予報 ※6月13日(金)午前11時、ウェザーマップ発表

 
 15日(日)は安定して晴れるところが多くなるでしょう。海水浴日和となりますが、沖縄近海はうねりを伴う高波に注意が必要です。
 また、危険な暑さが予想される熱中症警戒アラートが5月21日(水)に八重山地方に発表されて、6月8日(日)の沖縄地方の梅雨明け発表後は連日、各地域に発表されています。

熱中症予防のポイント ※ウェザーマップ

 熱中症警戒アラートは、熱中症の危険性に対する「気づき」を促すことを目的として気象庁と環境省が共同で発表する情報です。
熱中症警戒アラートが発表されている日は、室内のエアコン等により涼しい環境にて過ごし、こまめな休憩や水分補給・塩分補給をしましょう。高齢者、乳幼児等は周囲の方も声がけが大切です。
5番目に遅い台風1号の発生
 6月11日(水)午前9時に南シナ海で台風1号が発生しました。台風の統計がある1951年以降で、5番目に遅い台風1号の発生となっています。

台風1号の進路予想図 ※6月13日(金)午後3時現在、ウェザーマップ

 台風は13日(金)午後3時現在、トンキン湾にあって今後は北東方向へ進路を変えて中国大陸へ進む見込みです。15日(日)の午後には華南で熱帯低気圧に変わる見通しです。沖縄付近への大きな影響はない見込みです。

2025年6月14日(土)午前9時の予想天気図 ※6月13日(金)正午、ウェザーマップ

崎濱綾子
気象予報士/防災士(株式会社ウェザーマップ)
 沖縄県宜野湾市生まれ。ミスはごろもとして地元の観光大使を務める。RBC琉球放送でラジオ・テレビのリポーター、QAB琉球朝日放送で気象キャスターを担当。2005年に沖縄初の女性気象予報士となる。2005~2016年3月までRBC琉球放送の夕方のニュース番組で月~金曜日の気象キャスターを担当。
2016年4月から東京の本社で勤務。Yahoo!ニュース動画出演・記事執筆を担当。Yahoo!ニュースエキスパート。好きな天気現象は、夏至南風(カーチーベー)。
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