自分が死んだ後も子どもたちが、家族が幸せでありますように。そんな優しくて強くて静かな人を相手に、20歳そこそこのニートの孫が遺産目当てに介護を兼ねた共同生活を申し出る。
赤子の手をひねるようなものだった。肉体の衰えすらも威厳の要素にしてしまうカッコイイおばあちゃん相手に、青年の浅はかな悪巧みは容易に見透かされ、あとはひれ伏すしかない。一緒にいればいるほど、厳しくて優しくて魅力たっぷりなおばあちゃんが彼の心に流れ込んできて、青年は少しずつ優しさを身につけていく。(桜坂劇場・下地久美子)
◇桜坂劇場で上映中