米軍普天間飛行場の騒音対策など生活環境の保全について話し合う、政府と市による協議会がきょう初開催される。
今年1月、佐喜真淳市長が設置を求めていた。
普天間では米軍機の夜間騒音が増加している。市は沖縄防衛局などを通じ対応を求めるが、やむ気配はない。
1月には県外から嘉手納基地にローテーション展開しているF16などの訓練の影響を受け、普天間周辺で3日間に100デシベルを超える騒音被害が計35回発生した。
佐喜真市長は「市民生活に深刻な被害を及ぼしている」として防衛局などに抗議もしている。
PFAS問題も深刻だ。普天間周辺の河川、地下水からは高濃度で検出された。
ほかにも基地フェンス沿いの冠水被害や不法投棄など、市では基地から派生する生活課題が山積している。
初会合は政府側から佐藤文俊官房副長官や関係省庁の局長級が出席し、佐喜真市長らと協議する予定だ。
長年有効な対策が示されてこなかったことを考えれば、米軍側の対応の進捗(しんちょく)をより具体的に確認し、市民に逐次知らせる機会ともすべきだ。
目に見える形で解決策を示さなければならない。
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市の基地負担軽減を協議する場には、政府と県を交えた「米軍普天間飛行場負担軽減推進会議」と、その下部組織の「作業部会」がある。
だが、推進会議は2019年を最後に開かれていない。作業部会も年1回程度で不十分な状況だ。市が2者協議の開催を要求した背景には、そうした事情もあるという。
一方で、新基地建設を巡り政府と対立する「県外し」の思惑も透ける。
「世界一危険」と言われる普天間の運用停止を求める考えは県も市も同じだ。問題の根本的な解決を目指すには県の協力も欠かせない。
同様の2者協議は昨年、政府と名護市の間でも開催された。
名護市側は、新基地建設工事に伴う交通渋滞の緩和や、米軍ヘリパッド「フェニックス」の撤去、キャンプ・シュワブ内の第3廃弾処理場の撤去・移設-を要請したという。
しかし、成果はまだ見えないのである。
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そもそも推進会議は14年、普天間の運用停止を目的に設置された。
既存の会議がありながら、2者協議の場を新たに設けることには違和感がある。
普天間から派生するさまざまな生活課題を抜本的に解決するためには、できるだけ早い運用停止こそが求められよう。
政府は早期に推進会議を再開し協議を前に進めるべきだ。