国の文化審議会(島谷弘幸会長)は20日、歴代琉球国王の位牌(いはい)を正廟(せいびょう、本堂)にまつり、国廟と位置付けられた那覇市泊の「崇元寺跡」を新たな史跡に指定するよう阿部俊子文部科学相に答申した。

新たに国の史跡に指定される崇元寺跡=6月17日、那覇市泊(金城拓撮影)

 崇元寺は首里と那覇を結ぶ地にあった臨済宗の寺院。
15~16世紀初頭の創建と伝えられる。明・清からの冊封使を迎え、先王の霊をまつる儀式(諭祭)を行った。琉球王国の正統性を示す儀式の場であり、王廟の在り方や祭祀(さいし)の様相を知る上で、重要な遺跡とされる。那覇市が現在、保存整備事業を進めている。

発掘調査で確認された崇元寺跡の遺構=那覇市泊(那覇市文化財課提供)

東南植物楽園は登録記念物
 また、沖縄市の「東南植物楽園」が新たな登録記念物(名勝地関係)に盛り込まれた。登録されるのは1970年の開園以来ある植物園エリアのうち、ユスラヤシ並木、トックリヤシ並木と呼ばれる区域。

登録記念物に新登録される東南植物楽園のユスラヤシ並木=沖縄市(同園提供)
登録記念物に新登録される東南植物楽園のトックリヤシ並木=沖縄市(同園提供)

 
名勝・伊江殿内庭園は追加指定へ
 名勝では、那覇市にある「伊江殿内庭園」の屋敷囲いの南西側石積を追加指定するよう答申された。

名勝の伊江殿内庭園(既に指定された範囲)=那覇市(那覇市教育委員会提供)
追加指定される、名勝「伊江殿内庭園」の邸宅入り口脇の石積=那覇市(那覇市教育委員会提供)

 
 県内各地にある御嶽の総称「アマミクヌムイ」を構成する、沖縄市の「ごゑく(越来グスク)」は指定範囲が広がる。アマミクヌムイの構成要素として国頭村の「辺戸ノ安須森」が加わった。

名勝アマミクヌムイを構成する「ごゑく(越来グスク)」=沖縄市(沖縄市教育委員会提供)
名勝アマミクヌムイの構成要素として新たに追加指定される「辺戸ノ安須森」=国頭村(株式会社南都提供)
名勝アマミクヌムイの構成要素として新たに追加指定される「辺戸ノ安須森」=国頭村(国頭村教育委員会提供)

 県内での指定は史跡が44件、名勝は14件、登録記念物は6件になる。近く官報に告示され、正式指定される。
   
 県の半嶺満教育長は「文化財保護の観点から大変喜ばしい。
県としても引き続き関係機関と連携しながら適切な保存と活用に努める」とのコメントを発表した。
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