20~30代が企画・執筆した小冊子「あなたの沖縄vol.3-日常から沖縄戦を語り継ぐ」が刊行される。県内外、海外出身の8人が、家族の戦争体験や学校現場の平和教育などに向き合った。
「沖縄戦に対する、自分なりの向き合い方が見つかるような1冊になってほしい」。体験者が減少するなかで、そんな強い願いが込められている。(社会部・豊島鉄博)
 住んでいる豊見城市の戦史に記された体験者の証言を基に、戦時中にたどった道を追体験した人-。沖縄戦継承のため、どのような取り組みをしているか語り合った教員たち-。
 執筆者らは、取り組みを始めた昨年秋ごろは、沖縄戦をどう言葉にしたらいいか迷ったという。それでも、半年ほどかけて過去の資料も読み、思いを言葉にした。
 製作の中心を担ったのは、投稿サイト「note」やX(旧ツイッター)でコラムを展開する「あなたの沖縄 コラムプロジェクト」の代表で、東京都在住の西由良さん(30)=那覇市出身。
 沖縄について自分なりの思いをつづったコラムを発信し、これまでにも今回と同様のZINE(ジン)と呼ばれるスタイルの小冊子を2冊発行した。
 西さんが沖縄戦を強く意識するようになったのは、渡嘉敷島出身の祖母(92)の存在が大きいという。
 戦時中、「集団自決(強制集団死)」から祖母は逃げて生き延びた。なのに、祖母は、西さんが高校生の時に1度だけ「なんで生き残ったのかねえ」とつぶやいた。祖母に70年近く罪悪感を与えてきた戦争に、心底腹が立った。
同時に、祖母が生きてきた時間を肯定したい。そう思った。
 高校生の時から10年以上がたち、年を重ねた祖母とは話すことが難しくなった。悔いは残りつつ、こう考えた。「もしかしたら私が聞き逃していた話が家族の中にあるかもしれない」
 家族で沖縄戦について話し合うきっかけにもなるはずだと、今年3月に親戚で集まって語り合い、その時の模様をつづった。
 戦争体験者は減りつつある。それでも「どう受け継いでいくか自分に向き合っていければ、語り継いでいける」。西さんはそう信じている。
 「あなたの沖縄vol.3-日常から沖縄戦を語り継ぐ」はB5判で全80ページ。インターネットでの販売価格は1200円(送料別)。県内の書店でも今後発売される。詳細のURLはhttps://yourokinawa.base.shop/items/109266166
■6月21日にトークイベント
 那覇市久茂地のタイムスホールで21日、沖縄戦の継承をテーマにしたトークイベント「わたしが向き合う沖縄戦~戦後から続く時間を言葉にするために」が開かれる。

 コラムプロジェクト「あなたの沖縄」代表の西由良さんが司会で登壇。琉球大学教授の上間陽子さん、漫画家の大白小蟹さん、小説家の豊永浩平さんが意見を交わす。入場料は1500円。詳細のURLはhttps://okinawatimes.jp/news/49453410/
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