1944年の10・10空襲や、その後の地上戦で大きな被害を受けた那覇市の市議会(野原嘉孝議長)は25日、戦後80年の市議会平和宣言を全会一致(退席1)で可決した。「二度とあの凄惨(せいさん)な沖縄戦の悲劇を繰り返すことがないよう、31万余の市民と力を合わせてあらゆる努力を惜しまない」と宣言した。

 沖縄戦は日本軍の「戦略持久戦」で、軍人より住民の戦死者がはるかに上回っており、県民の4人に1人が犠牲になったと説明。「この冷厳な事実こそが、沖縄戦の最大の教訓として『軍隊は住民を守らない』とされてしまう理由」と指摘した。
 戦後80年の節目に「沖縄戦の正しい実相と教訓をあらゆる機会で共有し、継承・発信して平和行政と平和教育の充実を促進する」とした。
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 那覇市議会が可決した平和宣言について、大山孝夫氏は25日、宣言の中で「軍隊は住民を守らない」とする内容が、「住民を守った事実がある中、大きな違和感を覚える」と説明、「(日本軍の)ご遺族に対しやや横暴な言葉」という理由で採決時に退席した。
 住民を守った例として1945年5月24日に義烈空挺(くうてい)隊などが、米軍が既に占領した読谷、嘉手納の2飛行場に着陸し、航空機や関連施設の爆破などを狙ったことを挙げ「一時的ではあるが、多く住民を攻撃の手から守った」と強調した。(社会部・末吉未空)
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