物体は長さ約2・1メートルで重さは10キロほど。鉄製で、所々青っぽいさびが見られる。上部の太い部分には「No.243093」「FUJII KYOTO JAPAN」などと刻印されており、とがった先端部には穴が開いている。
岸本区長によると、30年前に拾い保管していた発見者が、今年5月に発生した米軍ヘリの落下物事故で思い出した。発見当時、物体の周辺に折れた木の枝が落ちており「落下物かもしれない。だとしたら飛行の際に注意してほしい」と公民館に持ち込んだ。
岸本区長は「中は空洞で先端に穴が開いているから液体を注入する部品のように見えるが、なにか分からない。完全にミステリーだ」と話した。
記者が拾得物の刻印から京都府内の「藤井」が付く会社を調べると「藤井合金製作所」という会社に行き着いた。担当者に事情を説明し照会してもらうと、同社が製造する「FF式ロータリーノズル」ということが分かった。
消防隊の消火活動で使う物で、通水すると先端のノズルが回転して水を噴霧する構造になっている。
名護市消防本部は同製品を3本ほど装備している。先端がとがっているため、車両火災でボンネットの隙間に突っ込むなどの使い方があるという。現在はより機能性の高いノズルを使うため、年に1~2回の使用にとどまるという。
物体が拾われたころと同じ、30年前の95年に入署した警防課の桃原泰彦係長は「山林火災で使うような機材じゃないし、勤務してから勝山での火災もあまり記憶にない」と首をひねる。
車両の備品は点検表で確認するため、紛失した場合はすぐに発覚する。「僕が入った30年以前の話なら否定はできないが、紛失したらすぐに気付くはず。なぜ勝山地域に落ちていたのか検討がつかない」と困惑。勝山区には「警察に届けてほしい」と話した。