「後半は体力がなくなると思って序盤にスピードを上げて賭けに出た」。50メートルバタフライに出場した親川さんは体を拭きながら笑顔で振り返った。34秒12のタイムを記録し、15歳以上の部で7位。孫たちは祖父の泳ぐ姿を見て「速かった」と大喜びだった。
初めて全員で大会に出たことで気合が入ったのか、孫たちはベストタイムを更新するなど好成績だった。生後5カ月から水泳を始めた安慶田ちはやさん(浦添市立神森小5年)は、10歳以下の100メートル自由形で3位になった。「初めて全員で水泳の大会に出られてうれしい」と笑顔。親川さんは「よく頑張ったね」と孫たちを褒めたたえた。
親川さんは高校卒業後、選手を指導する立場で同連盟に携わってきた。30代の頃は教え子と師弟で国体を目指したが、ぎりぎりのところでかなわなかった。その経験もあって「孫5人と同じ大会に出たい」という強い思いがあったと話す。
親川さんは5人の孫が通う沖縄スイミングスクール三原校のスクール長も務める。週6回、1時間半のハードな練習に「少し厳しい」と孫たち。それでも、ちはやさんのタイムは親川さんにあと3秒まで迫っており、「いつかは勝ちたい」と気合を入れて練習に励む。
「ちはやにはまだ負けないぞ」と親川さん。まだ7人の孫がいる。一番下の孫は生後100日を迎えたばかり。大会に出られるまで水泳を続け「次は12人で大会に出ることも一つの目標だ」と奮い立つ。