「人生は近くで見れば悲劇だが、遠くから見れば喜劇だ」。ご存じ、チャールズ・チャップリンの言葉。
ボロを着たちょび髭(ひげ)のホームレス、チャップリンの身に起こる小さな悲劇の面白さに笑っているうちに、なんだか少しずつ彼の心に近づいていって、気づけば表情を変えないチャップリンの代わりにこちらが涙をこぼしてしまう。
 イタリア版チャップリン作品のような「ドマーニ! 愛のことづて」は、コメディエンヌ、パオラ・コルテッレージが主演と監督を務め、古くから続く女性に対する不平等な風習や考え方を、俯瞰(ふかん)して捉え、喜劇として描いた作品。
 笑いに込められた感情は悲哀よりも怒りなのが特徴。虐げられ続けた女性たちが緩やかに団結し、怒りと不満とマンマの愛が爆発すると、泣くよりも、立ち上がって拍手喝采を届けたくなる。 (桜坂劇場・下地久美子)
◇桜坂劇場で上映中
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