沖縄県内の酪農農家がピーク時から8割減の46戸となり、うち8割が赤字経営であることが4日、分かった。高止まりする飼料費などが経営を圧迫している。
生産量もピーク時から6割減少。スーパーなどの量販店が求める出荷量を確保できず、安価な県外産が 売り場に並ぶ状況に陥っている。県酪農農業協同組合は、窮地を脱するためには生産量を増やすしかないとして、県に母牛の導入支援事業の再開など「即効性のある支援」を求めている。(政経部・川野百合子)
 同日開かれた県議会の経済労働委員会(新垣淑豊委員長)で、同酪農組合が明らかにした。
 酪農農家はピーク時の1980年代前半には203戸いたが、年々減り続け、近年は新規就農がない。生乳は最も多い2000年に3万9千トン近く生産されていたが、下降の一途をたどり、24年度は約1万5400トンになっている。
 畜産全体の経営環境として、コロナ禍による大幅な需要減や、世界情勢の混乱による飼料価格高騰などが影を落とす。県は配合飼料購入への補助として22年度から約36億円を支援。本年度は11億8600万円を当初予算に計上した。ただ近年の赤字を補塡ほてんするまでには至っていない。
 県内の生乳生産を巡っては、夏休みなどの長期休暇時に需要が大きく減少。これまで余剰乳として特価で量販店に販売していた。

 ただ今年3~4月は、量販店には既に安価な県外産が流通しており、販売できなかった。そのため、200トン余りを加工用として3分の1の価格で県外へ移出した。農家は年間約438万円の収入減となり死活問題となっている。
 県内の牛乳の消費量は全国に比べても減少傾向にある。酪農組合は生産団体だが、消費の拡大に向け、余剰乳が出る時期に県内のホテルなどで扱えないか、業界団体との交渉に乗り出すなど、地産地消の促進に向けて動き出した。
 その上で、県には県外からの母牛導入支援の再開などを求める。県は22年度まで実施していたが、県内で子牛から育成するための費用補助事業に制度が変わった。
 乳牛は、母乳が出るまで生まれてから2年ほどかかる。酪農組合の香村直参事兼総務課長は「県の事業には助かっているが、さらに即効性のある支援をお願いしたい」と話した。
沖縄の酪農農家ピンチ ピークから戸数8割減、残った農家も8割...の画像はこちら >>
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