歯を失う主な原因は歯周病(40%)、虫歯(30%)、歯の破折(20%)で、若いうちは虫歯で歯を失う割合が高く、中年以降になると歯周病で失う割合が高くなります。
若いうちの歯茎は抵抗力が高いため歯周病になりにくく、虫歯がひどくなり歯が崩壊して抜歯に至るようです。
1本の歯を失うと、残っている歯に過度な負担をかけたり、かみ合わせが変わりかむ位置が不安定になり、顎(がく)関節症を引き起こす要因にもなります。
また、歯は上下左右の歯に接触しながらその場所を維持しており、隣の歯が失ったスペースを埋めようとして傾いてきたり、上の歯が下に降りてくる現象(挺出(ていしゅつ))が起こり、下の歯茎をかんで痛んだり、さらに、上下の歯が緩衝し合って顎の自由な動きを制限してしまいます。
特に奥歯を失うと十分な咀嚼(そしゃく)ができず、食事の量が増えて肥満の原因にもなります。そして、かむ回数も少なくなれば唾液の分泌量が減り、口の中を衛生的に保つ事も難しくなり、食物の消化吸収にも時間がかかり、消化不良や胃腸の負担が増えてしまいます。
さて、歯はどこの部位から失うのでしょうか?
初めに、下の奥歯から失う傾向が強く、小臼歯へと移っていきます。次に上の奥歯から前歯へと移動し、その前歯に下の前歯の突き上げる力が働いて前歯の揺れ(動揺)が起きます。その結果、上の前歯は前方に傾き、いわゆる「出っ歯」の口元になり、もっと揺れが大きくなると、歯が抜け落ち1本もない状態になります。この状況は他の部位においても同様で、上下どちらかの歯を失うと、他の歯がかむ力に耐えきれず少しずつ揺れが大きくなり、抜歯に至ってしまいます。そうやって歯を失っていくわけです。
このような連鎖を止めるためには、早期に歯科医院へ相談するなどして、できるだけ早く対策を講じなければなりません。(上地栄作、えいさく歯科医院=那覇市)