参院選の当選者は、見直し議論とともに、31年度に期限切れとなる振興計画の在り方を検証する重要な任期を担うことになる。
県経済をけん引する観光では、入域客数が24年度に995万人を超え、復帰時の約18倍に上った。他の産業への波及効果も大きい。ただ深刻な人手不足が機会損失につながっている。
所得が低い県内では、物価上昇に伴う影響も深刻だ。振興計画では「豊かさを実感できる社会」を掲げており、強い経済の実現が欠かせない。
那覇空港や、沖縄本島西海岸の米軍基地返還予定地の一体開発を目指す「GW(ゲートウェイ)2050PROJECTS」は、国の26年度予算編成に向けた骨太の方針に明記された。
しかし、拠点となる米軍基地の返還時期はいまだに示されず、実現の見通しは立っていない。
重要施策は県や市町村、経済団体が認識を共有して取り組まなければ成果を得られない。計画を具体化する過程で、県民の理解を深める努力が求められる。
離島の人口は減少し、本島との格差が広がっているのが実情だ。生活環境や経済を支えるきめの細かい政策が必要になる。
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沖縄選挙区には5人が立候補している。
自民の奥間亮氏と、「オール沖縄」勢力が推す高良沙哉氏の事実上の一騎打ちで、参政の和田知久氏が追う展開になっている。
奥間氏は、法改正や新たな法の制定で優遇税制・高率補助を拡大し、自立型経済を確立すると主張する。
高良氏は予算を減らす国をけん制し、県と市町村が主体的に事業実施できる予算の確保を訴える。
和田氏は国の財政が窮迫する中、「沖縄だけの特措法の継続は無理」と、将来的な廃止を見据える。
沖縄関係予算では、県が市町村と配分する一括交付金は減額、国が市町村に直接交付する特定事業推進費は増額の傾向にある。
他の都道府県と違い、米軍基地とのリンク論を指摘されるような「いびつな構図」を問い直す作業にも取り組んでもらいたい。
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振興計画では本土との格差是正、民間主導の自立型経済の構築を目指してきたが、道半ばといえる。
近年、県外企業が本島だけではなく、離島にも進出している。そこへ地元企業が入り、経済の好循環、成長を生み出すにはどうすればいいのか。
県内でも人口減少の対策は待ったなしだ。離島では行政や地域行事の運営に支障が出ている。
米軍基地の返還交渉は30年前の日米合意から進んでいない。
さまざまな課題の解決に向け、中長期的なビジョンで政策論争を求めたい。