ヤシオオオサゾウムシは、中東から東南アジアにかけて広く生息。成虫はヤシの木に卵を産み、幼虫はヤシの木を食べて育つため、枯らす原因となる。
農林水産省などによると、国内では1975年に沖縄で確認。98年には宮崎県南部の海岸に植栽されていたカナリーヤシの成木が立ち枯れる被害が発生した。近畿・中国地方で被害が確認されている。
害虫とされているが、幼虫はベトナムでは王朝時代に王様の食卓にだけ提供された高級食材で、今では現地の一般家庭でも親しまれている。
藤田社長は、昆虫食の普及活動をするNPO法人「食用昆虫科学研究会」に所属。日本でも昆虫食として広めようと、2024年に会社を立ち上げ商品化を進めた。
幼虫には血中の悪玉コレステロールを下げる働きがある「オレイン酸」の含有量が多いことに着目。「健康食」として、冷凍されたタイ産の幼虫を煮沸殺菌し、フリーズドライ加工した。
1袋5グラムで4、5匹ほど入っており、沖縄市の美らヤシパークオキナワ・東南植物楽園で販売。
藤田社長は「食糧難に直面したとき、栄養価の高い昆虫は『スーパーフード』になる。駆除するのではなく、栄養価の高い食材として食べる文化を広めていきたい」と意気込んだ。
