食用昆虫の養殖と製造、販売を手がける琉球昆虫(沖縄県うるま市、藤田匠社長)は、ベトナムで王族だけが食べていたとされるヤシオオオサゾウムシ(別名・ココナッツワーム)の幼虫をフリーズドライ加工した昆虫食を7月下旬から販売する。幼虫には、血中の悪玉コレステロールを下げる働きがあるとされ、生活習慣病の予防が期待できるという。
藤田社長は今後、県内でヤシオオオサゾウムシを養殖し、県産昆虫食の市場拡大を目指している。(政経部・山田優介)
 ヤシオオオサゾウムシは、中東から東南アジアにかけて広く生息。成虫はヤシの木に卵を産み、幼虫はヤシの木を食べて育つため、枯らす原因となる。
 農林水産省などによると、国内では1975年に沖縄で確認。98年には宮崎県南部の海岸に植栽されていたカナリーヤシの成木が立ち枯れる被害が発生した。近畿・中国地方で被害が確認されている。
 害虫とされているが、幼虫はベトナムでは王朝時代に王様の食卓にだけ提供された高級食材で、今では現地の一般家庭でも親しまれている。
 藤田社長は、昆虫食の普及活動をするNPO法人「食用昆虫科学研究会」に所属。日本でも昆虫食として広めようと、2024年に会社を立ち上げ商品化を進めた。
 幼虫には血中の悪玉コレステロールを下げる働きがある「オレイン酸」の含有量が多いことに着目。「健康食」として、冷凍されたタイ産の幼虫を煮沸殺菌し、フリーズドライ加工した。
 1袋5グラムで4、5匹ほど入っており、沖縄市の美らヤシパークオキナワ・東南植物楽園で販売。
価格は2千円前後を予定している。今後は、自宅で養殖している数を増やしていく方針。
 藤田社長は「食糧難に直面したとき、栄養価の高い昆虫は『スーパーフード』になる。駆除するのではなく、栄養価の高い食材として食べる文化を広めていきたい」と意気込んだ。
ベトナム王族の昆虫食を商品化 害虫だが…幼虫は生活習慣病を防...の画像はこちら >>
ベトナム王族の昆虫食を商品化 害虫だが…幼虫は生活習慣病を防ぐスーパーフード 「駆除せず食べる文化広めたい」
フリーズドライ加工した昆虫食を販売する琉球昆虫の藤田匠社長=9日、うるま市
編集部おすすめ