沖縄県の15~64歳女性の就業率は76・6%(2024年8月現在)。前年同月比で3・1ポイント上昇し、今後も増加が見込まれます。
働く女性が増える中、これまでタブー視や個人の問題とされてきた生理や更年期の不調をはじめとした女性特有の健康課題は、健康経営の観点からも避けて通れないものとなっています。また、女性の更年期への注目に伴い、男性更年期への関心もより高まっています。自らの更年期について発信しているフリーアナウンサーの山内佑利子さんと、県内企業で働く女性が、働くことと女性の健康課題のリアルについて語り合いました。(企画・制作 沖縄タイムス社営業局)

 
山内 佑利子さん フリーアナウンサー
星野 真紀さん 沖縄セルラー サステナビリティ経営推進部
與座 貴子さん ピータイム 管理部人事課相談員
渡口 るみさん 琉球銀行 人事部保健師
進行 佐渡山 倫子 沖縄タイムス社営業局

毎月向き合う 生理のあれこれ
 山内佑利子 生理中に、真っ白の衣装で一日中移動が続く仕事をしたことがあって。ナプキンを換えるタイミングが難しく、そのことで仕事相手を待たせてしまわないか神経を使った経験があります。
 與座貴子 職場のスタッフが、出血がすごく多くて仕事するのもきつい状態になっていたことがあります。私がそばにいたので彼女はそのことを伝えて帰れたけれど、男性だけの職場だったら言えないでいただろうなと思います。ほかにスタッフからの声としては、生理で休んだその後にお子さんが体調不良になるとまた休まなければならなくなり、休みが続いてしまうので言えないと。毎月休みを取ると「なんで?」という感じになってしまうと。
 佐渡山倫子 私も生理痛がひどくて、仕事をするために生理痛を和らげようと薬を飲んで倒れたことがあります。その時に、これは自分だけで抱えていたら、またいつこうなるか分からないなって逆に吹っ切れて、自分の症状を周囲に言えるようになりました。
みんな不安更年期 思い語って心軽く
 山内 私は今年46歳になりますが、2年ほど前から更年期症状があって。
そのことをテレビの企画で話したら周囲に「こんなこと言って大丈夫なの」と言われたんですが、私は逆に、一見ハツラツと仕事してるような人が実はそうなんだ、という方がほかのみんなも言いやすいんじゃないかなと思っていました。
 自分の症状が更年期だということに行き着いたのは、夕方のキャスターの仕事の後、神経の高ぶりがおさまらなくて夜寝られない、でも朝は起きなきゃいけない、どんどんリズムが崩れて、キャリア25年で、めったにかまないニュースの仕事でかむことが増えた。腕が落ちたのかな、でも前と変わらず集中しているのになと思ってかむ時をチェックしたら、見事に生理の二日前とか一日前だと分かって。これは何かホルモンが関係あるかもと調べ出したんです。
 40代、見聞も広くなってキャスターとして花盛りなのに、たった数十分で神経が過敏になり。20~30代のころはずっとバリバリやるぞって思っていたのに、体のことでストップになることがあるんだって。
 與座 更年期に対するスタッフの声としては「妊娠時にホルモンバランスの変化から気持ちの浮き沈みがあり、コントロールするのがかなり大変だったが、それが更年期にまた来るのか」、「今でも生理中イライラしたり仕事が手につかないことがあり、気合いでどうにかやっている。更年期が怖い」、「何が更年期か、具体的に前兆があるか知りたい」とか、不安が大きいようです。
 山内 症状がそれぞれ違うから分かりづらいですよね。私は「更年期でさ!」とあえて明るく話すようにしています。「それ分かるー」って、吐き出して軽くなることもあるかなって。
「お互いさま」の心 助け合う環境大事
 山内 星野さん、お薬が効かないほどの生理痛があるとき、どうしてますか。

 星野真紀 生理の体調不良含めて誰もが使える休暇制度があります。男性も使えるように名称も「生理休暇」から「ウェルネス休暇」となり、オープンになって使いやすくなりました。
 渡口るみ 女性だけでなく男性にも更年期があり、より言いづらい状況もあるのかなと思います。介護、育児、がん治療中の人もいるだろうし、だからお互い様という感じで、男性でも女性でも誰かが休むときには気持ちよく休める環境が大事だと思います。
女性も男性も共に 学び考える機運を
 佐渡山 沖縄タイムスの女性の健康支援イベントでは、毎回、更年期に関する講演は男女両方の医師が登壇します。ご夫婦での参加者もいます。そういう場はまだ少ないと思います。
 山内 そこは女性の方が進んでいるからこそ、リードして「男性も一緒に考えよう」って、引き込んでいきたいですよね。
 渡口 社内アンケートでは女性からも男性からも、自分自身に知識が不足しているから、勉強して知識を得たいという声もあります。
 與座 座談会に参加するにあたって社内で聞き取りしたら、人員の少ない中で不妊治療を始めるか悩んでいるという話がありました。
 渡口 琉球銀行では「ライフデザイン休職」といって最長2年間休職できる制度があります。介護等で使う社員もいますが、妊活はその2年で授かる場合もそうでない場合もありますよね。
会社の制度だけでなく、自分で自分を知り、ケアや受診ができるのもすごく大切。食事と運動と睡眠という基本的な生活習慣はいろんなところに影響していて、そこを整えることがPMSの改善にもなったりします。
 與座 症状がきつくて休むときの相談は日々受けますが、その次のステップをどうするかですよね。改善できるものではなく仕方ないもの、という認識があるかもしれないです。そういうときどうしたらいいか、情報がもっと共有できたら、みんな気持ちが楽になるのかなと思いました。
自分を知り気付く 現状は変えられる
 佐渡山 私は自分の体調の波を記録する中で、自分はこの時こういう作業は難しいんだとかが分かってきて、それに合わせて業務を組み立てると、パフォーマンスが落ちにくいと気付きました。自分を知り、モヤモヤを可視化することが、解決の一歩になりました。
 山内 私もそうです。課題を可視化してリズムを作ると、生理前だと言葉をかみやすいということが分かるだけで、そうなっても落ち込まなくなる。改善の工夫ができる。ちょっとしたことなんですけど。
 與座 今月、スタッフ向けにオンライン診療を導入しました。
本人も家族も利用でき、雇用形態にかかわらず、ピータイムのグループ全社全員が使えます。社員が体調を崩す前に先手先手で対応していきたいです。
 星野 お話を聞いていて、いろいろある中でもしっかりキャリアを築いている先輩を見ると憧れますし、より輝いて見えます。
 山内 迷っている誰かが一歩踏み出す後押しになればいいなと思っています。
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