【桜坂劇場・下地久美子の映画コレ見た？】『サブスタンス』美への欲望　果てしなく
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　「若さと美しさが得られる薬」と聞いて手を出してしまった違法薬物の効能は恐ろしくて、体が二つになってしまった。若くてパーフェクトな分身と、５０歳の母体。
２体は１週間ごとに入れ替わって活動するというルールに縛られていて、それぞれが意思を持ってそれぞれの１週間を生き、確固たる意思で相手と入れ替わらなければならない。
　彼女は圧倒的な美しさを武器に戦い、スター街道を勝ち上がっていったのだから仕方ないことなのかもしれないが、若くて美しいことの正義を、世界の誰よりも彼女が信じていた。美の衰えが原因で番組降板なんて受け入れられない。映画はその無謀な願望と欲望の極致を描いていく。
　完璧な自分を謳歌（おうか）する若い分身の欲望は果てしなく、１週間ごとに入れ替わるルールはあっさり破られ、阿鼻（あび）叫喚のラストが少しずつ迫り来る。　　（桜坂劇場・下地久美子）
◇桜坂劇場で上映中
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