内閣府の2024年度年次経済財政報告によれば、残業代や賞与を含む年収を比較したところ、外国人労働者の年収は日本人より28・3%低かった。産業や地域、個人の属性の影響を除いても7・1%低い。
内閣府は「同じ工場でも日本人が責任ある立場を任される一方で外国人が単純労働に就く場合も多い。また技能実習生は転職に制限があるため日本人より給与交渉がしにくく、年収には差がある状態だ」と話す。
そのため「外国人労働者の賃金が低い」は全体として正確。厚生労働省の毎月勤労統計調査によれば、国内の給与の伸び率は10年近く0~1%台で推移しており、「日本人の給与が上がっていない」も正確だ。
一方、両者の因果関係について内閣府は「外国人労働者は建設や製造、清掃など、日本人労働者が就きたがらない職種に就いており、労働市場が違うため、日本人の賃金が外国人につられてしまうことは考えにくい」と否定した。
よって、日本人労働者の給与が上がらない原因が外国人労働者の低賃金にあるとする言説は「不正確」と判定した。NPO「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)の基準で「正確な部分と不正確な部分が交じっていて、全体として正確性が欠如している」言説を指す。(参院選取材班・大川藍)
ファクトチェックの基準
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