市消防局や3人によると、事案が起きたのは4月23日正午過ぎ。車の運転席と助手席で食事をしていた親子のうち、助手席にいた80代女性が餅をのどに詰まらせた。運転席の娘は慌てて車から降り、仲本さんに声をかけた。
仲本さんは「娘から『母が息をしていなくて。通報をお願いします』と言われた。パニックになっているようだった」と振り返る。女性の唇は紫色になっており、急いで店へ報告した。近くに止めていた自分の車から見ていた仲宗根さん。周りの人たちに119番通報したかを確認し、通報した。
救急車が到着するまでの間、仲本さんは20年前の自身の経験を思い出していた。警備員として勤務中、水を急いで飲んだ時、気管に水が入り、呼吸がしづらくなった。周りにいた同僚たちが背中をたたいてくれて、無事だったという。
「強く背中をたたかないと効果はない」。自分がかつてしてもらった経験が脳裏に浮かび、背中をたたき続けた。すると、いびきをする音が聞こえ、呼吸している様子が確認できたことから、車から降ろして救急車が来るまで横にさせた。女性はその後回復に至ったという。こうした背中をたたく「背部叩打法」は、のどに何か詰まった時には有効とされている。
国場りうぼうで警備員を務めて25年ほどという仲本さんは「初めての経験だったが、あの時の体験が生きた」。3人は「今後も同様のことが起きたら、しっかり救助したい」と語った。
感謝状を贈呈した市消防局の上原立也局長は「皆さんが迅速で的確な処置を行ったおかげで、1人の尊い命を救うことができた。感謝の気持ちでいっぱいです」と謝辞を述べた。