だが野党に結束の気配はない。
石破首相になって自民・公明両党は、昨秋の衆院選で大敗し「少数与党」に転落、6月の都議選でも惨敗した。
今回の参院選では首相自ら、非改選を含め自公両党で全体の過半数を確保できる50議席を「必達目標」と位置付けた。
結果は計66の改選議席を47に減らす大敗。与党が衆参で少数となるのは1994年の羽田政権以来である。
有権者から不信任を突き付けられ、歴史的な3連敗を喫したのだから、首相続投は筋が通らない。
石破氏は記者会見で「比較第1党としての責任を果たしていきたい」と語った。
連立の枠組みを変更しない限り、早晩、行き詰まるのは確実だ。
今のところ、立民、維新、国民は連立入りを否定している。沈みかけた「泥船」に乗るつもりはないということだろう。
衆参両院で少数与党に転落しても、政権交代が実現せず、国民の支持のない政権が居座り続ける-そんなことでいいのだろうか。
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今度の参院選の大きな特徴は、自公、立民、維新、共産などの既成政党や老舗政党が軒並み苦戦を強いられ、国民や、参政などの新興勢力が飛躍的に議席を伸ばしたことだ。
前回に比べ40代以下の若い世代の投票率が上昇し、その多くの票が国民や参政に流れたとされる。
国民は「手取りを増やす夏」をスローガンに掲げ、都市部の若手、中堅層の支持を得た。「日本人ファースト」を掲げた参政は、外国人政策を争点化し、若者や保守層に食い込んだ。
立民が現状維持にとどまったのに対し、自民党を離反した票や無党派層の受け皿になったのは、この両党である。
参政党の躍進は、グローバリズムに対する反動としての「自国第一主義」や「反リベラル」の潮流が日本にも押し寄せてきたように見える。
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参政党の手法は、断定的な言葉遣いで有権者に直接訴えかけるポピュリズムの政治手法そのものである。
どこが有権者に刺さったのか、データに基づく丁寧な分析が必要だが、外国人への差別や偏見を助長するような主張を見過ごすことはできない。
「グローバリズムのせいで日本人の所得がどんどん落とされ、若者は結婚できなくなった」
主張の正当性を強調するため、外国人を悪者のように扱う。そのような主張がSNSで拡散されると、怒りの感情が広範に広がりかねない。危うい現象だ。