自民や共産など既成政党が議席を減らす中、新興政党が躍進した構図は、全国の傾向と重なる。
参院選沖縄選挙区では、敗れはしたものの、参政の新人、和田知久氏が12万6千票余を獲得した。
新興政党の躍進は、参院選比例代表の結果からも見て取れる。県内での得票率は、参政が12・87%で、トップの自民(16・92%)に続いた。4番目のれいわは10・36%、国民も9・02%の票を得た。前回2022年選挙と比べ、参政は8・22ポイント、れいわは3・75ポイント、国民は5・31ポイント伸ばした一方、自民は10ポイント以上落とした。
こうした結果から見えるのは既成政党への不信だ。長期の経済低迷で格差は拡大し、物価高騰の波が家計を襲う。多くの人々が窮状や不満を訴えているが、自公政権は解決に向けた道筋を示せていない。
共同通信が参院選投開票日に県内で実施した出口調査では10~30代の若者の約4割が和田氏へ投票したと答えた。
参院選で自公政権への批判票は、野党第一党の立民だけでなく、複数の野党政党に分散した。鮮明になったのは、既成政党の弱体化と、新興政党が乱立する「多党化」現象だ。
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新たな流れは、来秋に知事選を控える県内政治にも影響する可能性がある。
政権与党の自公は参院選で大敗し、衆参で少数となった。国会運営への影響は必至で、中央で政権交代や連立の枠組みを変える動きが出てくれば、県内の自公を中心とする保守側の政治体制にも直結するだろう。
一方、オール沖縄側も、現在の枠組みが維持できるかは見通せない。オール沖縄勢力に入っていないれいわは、那覇市議選で3人が当選した。24年の衆院選ではオール沖縄と対立する形で4区に山川仁氏を擁立し、復活当選を果たすなど勢力を拡大している。
今参院選では、れいわに加え、国民民主も比例票を伸ばしており、県内政界で影響力は増すだろう。
県内で14年以降続く「自公」対「オール沖縄」の対決構図は転換点を迎える可能性がある。
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参政の政策は、外国人への差別助長など危険性をはらむ。新興政党の戦略に共通するのは、既成政党への批判を踏み台に支持を広げる点だ。だが、国の課題をどう解決していくのか、その先の具体的な手法は打ち出せていない。分断と対立を深めるだけでは、一層の政治不信を招きかねない。
今後の選挙ではそれぞれの候補者の主張を吟味することがますます重要になってくる。その政策は自分や周りの人々の暮らしを豊かにするのか。有権者は聞こえのいい言葉だけでなく、政策を理解し、熟考する必要がある。