SNSの発達によって「国のために命をささげた」と軍隊や戦没者を美化する声が目立つようになり、政治家も発言を隠さなくなった。だが命を奪われた人々は本来生きたかったはずだ。主人公2人も「美しく死ぬ」ことよりも「醜くとも生き抜く」ことに力を注いだ。戦没者を美辞麗句で語ることは、残酷な戦争の実相から目をそらす。
政治家が「国」や「日本人」といった大きな主語で語るとき、そこに生きる一人一人の存在は容易に軽んじられる。80年前の過ちは、映画の中では住民視点で描かれている。
中学生の娘と見に行った。戦後80年の夏休み、ぜひ親子で見てほしい。
(DX推進部・屋良朝輝)
◇シネマQ、ライカム、ミハマ、サザンで上映中