かっこいい男たちを愛(め)でる。それは映画の醍醐味(だいごみ)。
今回私の愛するショーン・ペン様は、半袖の制服から筋肉質な腕をのぞかせて、知性と体力と使命と孤独を内包した救急救命士を険しい表情で演じてくださっています。現場でバディを組む若い新人隊員、タイ・シェリダン君もいいけれど、やはりシワの1本1本が哀愁を語るショーンは格別。
 彼らの仕事場、NYのハーレムは、ドラッグ・抗争・DVなどなど、毎夜何かしら事件が起こり、凄惨(せいさん)で過酷な現場に若者は少しずつ志をむしばまれていく。一方、冷静に仕事をこなすベテランのショーンは大切な何かをすっかり失っているらしい。
 実際、自殺者が殉職者より多いと言われる救急救命の現場で、極限に達した救命士を体現するショーン。危険で孤独で冷淡で、色っぽい。悲しいのに、大好き。
(桜坂劇場・下地久美子)
◇桜坂劇場で上映中
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