長期化すれば感染症がまん延する危険性が高まるほか、農作物への影響も避けられない。被災状況に注視しつつ、まずは排水作業に全力を注いでほしい。
台風8号の影響を受け、大東島地方では24日から28日にかけ大雨が降った。
沖縄気象台は27日午前、大東島地方に「線状降水帯」の予測情報を発表。南大東島では翌28日午前までの72時間雨量が527・5ミリと、平年の7月の4倍を超え、観測史上最大の雨量を記録した。北大東島でも28日までの5日間で計615ミリを観測した。
住宅が床上浸水した住民は「今まで経験したことのない激しい雨だった」と話す。27日夜から見る見る水かさが増し、膝下まで来たところで避難を試みた。
だが、外は真っ暗で車も水没して使えず、ようやく避難所に駆け込んだのは翌朝になってからという。
今のところ人的被害は出ていない。一方、これまでに両村では計25戸の浸水被害が確認されている。
加えて両村の低地帯では大量にたまった雨水が引かず、一部の道路で車両通行止めが続くほか、少なくとも38人が避難を余儀なくされている。
基幹作物であるサトウキビ畑の一部も冠水したままだ。
被害の把握は進んでいない。全容把握を急がなければならない。
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県は28日、両村に災害救助法の適用を決定した。昨年の北部豪雨では初動遅れが問題となったが、今回は迅速に対応した。
29日には北大東村での排水作業を支援するため陸上自衛隊の災害派遣も要請した。
南大東村は地形的にポンプを使った排水による効果は薄いとして、池から海につながる水門を開け、自然排水で様子を見ている。
高齢化や人口減少が進む離島では、村職員のマンパワー不足などで復旧作業にも時間がかかることが多い。
30日にはロシアのカムチャツカ半島付近で起きた地震の影響による津波が大東島にも到達した。両村の職員は浸水被害に加え、津波対応にも追われている。
県は同日、現地へ情報連絡員も派遣した。二次災害を防止するためにも、両村と連携を深めてほしい。
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気象災害の「激甚化」に伴い、県内各地で記録的な大雨が発生している。
昨年の北部豪雨では国頭村の比地川が氾濫し、付近では1階の天井部分まで水没した民家もあった。今年3月には石垣市川平でも同月観測史上最大の雨量を更新した。
特に離島ではこうした自然災害時に、本島からの船便の長期欠航で食糧など生活物資が不足することも少なくない。
県には離島の特殊性に配慮した、より手厚い復旧支援を求めたい。