[与那国町長選 2025.8.24] 
【与那国】与那国町長選は24日の投開票まで3週間を切った。いずれも保守系で2期目を目指す現職の糸数健一氏(71)、新人で前町議の上地常夫氏(61)と、革新系新人で町議の田里千代基氏(67)が立候補を表明している。
2021年の前回町長選と同じ三つどもえの公算が大きい。従来の革新支持者が保守系立候補予定者を支援するなど、保革共闘の動きが出ている。(八重山支局・砂川孫優)
 町政の継続を掲げる糸数氏に対し、上地氏と田里氏は「反糸数氏」で刷新を訴え、勢力拡大を狙う。 
 争点の一つとなる国の安全保障政策に関する考え方では、自衛隊の機能強化や島内での日米共同訓練に協力的な糸数氏に対し、田里氏は反対の立場、上地氏は慎重な姿勢を示している。
 保守分裂選挙の見方が強いが、革新も田里氏への支持を一本化できずにいる。革新系の一部が上地氏の支持に回っており、「反糸数氏」で保革共闘の流れが加速する可能性がある。
 糸数氏は前回町長選で、4期16年続いた外間守吉前町長の後継候補に対し「反外間氏」を掲げて初当選。次点に122票差の628票を獲得し、革新系町議との保革共闘が勝利の鍵を握ったといわれる。
 しかし、革新側は糸数氏の町政運営に対し「政策協定がほごにされた」と反発。革新側の意見を取り入れないほか、軍拡の動きに前のめりな糸数氏に決別を宣言した。さらに「反糸数氏」を打ち出し、上地氏にすり寄るといった4年前と似た構図になりつつある。
 革新支持者の中には「保革共闘では同じことの繰り返し」と危惧し、白票を投じる考えも広まっている。

 1月に与那国島を訪れた中谷元防衛相は、糸数氏と面談。日本最西端に位置する陸上自衛隊与那国駐屯地での地対空誘導弾の配備計画に理解を求めた。
 配備予定は03式中距離地対空誘導弾改良型。航空機や巡航ミサイル、弾道ミサイルの迎撃も可能となる。
 自衛隊増強に糸数氏は「しっかりやってほしい」と改めて協力を強調。上地氏は「急速に進む軍拡は一度、立ち止まるべきだ」と慎重な姿勢だ。田里氏は「これ以上の基地機能強化は必要ない。歯止めをかけるべきだ」と反対する。
 町長選の行方は国の政策にも影響する可能性がある。防衛省関係者は「町政が変われば安保政策や日米共同訓練に大きな支障を来す。島に住む自衛官とその家族が選挙戦を左右する可能性があるのでどんな審判を下すのか注視している」と語った。
沖縄・与那国町長選は三つどもえの公算 現職と2新人が立候補へ...の画像はこちら >>
編集部おすすめ