「武替道(ぶたいどう)」とは「スタントの道」という意味の中国語なのだそうで、映画100年の歴史の中で中国(おそらく香港)ではそんな「道」まで生まれたのかと、なんだか感慨深い。
 しかし、武替道の栄華も今は昔。
ブルース・リーが燃やした炎が消えかける今、スタントマンたちが現状を打破すべく愛と情熱を燃やす。
 泣けてくる。かつての栄華を知る者たちは老い去り、若者たちは躍動する肉体を持て余す現場。このままではアクション映画は死に、スタントマンは不要になる。
 焦る思いは同じだけれど、危険を顧みない老将の、手段を選ばぬ過酷で常識外れな撮影は受け入れられない。安全なら面白くなくてもいいのか、完璧じゃなくていいのか、低予算でももっとやれることはないのか、炎は消えてしまうのか。そんなの嫌に決まっている。(桜坂劇場・下地久美子)
◇桜坂劇場で上映中
【桜坂劇場・下地久美子の映画コレ見た?】『スタントマン 武替...の画像はこちら >>
編集部おすすめ