博物館の藤彰矩学芸員は「遺跡で発見された物を隣の博物館で見ることができ、当時の暮らしを立体的に想像できる。過去にタイムスリップした感覚をぜひ味わってほしい」と来場を呼びかけた。
伊礼原遺跡は1997年に発見され、2005年まで発掘調査が行われた。縄文時代からグスク時代、戦前まで約7千年にわたる暮らしの跡が残る貴重な地域だ。大量の動物の骨や貝製品も見つかっている。
中心には約7千年前から湧き続けている泉「ウーチヌカー」があり、人々の営みを支えてきたとされる。遺跡前の道路沿いでは、地中から発掘されたビーチロックが展示されている。海浜の堆積物が固まったもので、この場所がかつて海だったことを物語っている。
遺跡では縄文時代の自然環境を再現し、当時の風景を体感できるように工夫した。かつて海辺だった道路沿いには海浜植物のアダン、湿地にはサガリバナを植栽。
今後、竪穴住居の復元に加え、遺跡から大量に出土したドングリに着想を得て、新たにドングリの苗木を植えた「どんぐりの森」を整備する予定だ。
博物館では「縄文時代の交流」をテーマに遺跡から出土した資料や地層、ジオラマを通して当時の生活を再現している。月に1度、学芸員によるガイドツアーも実施する。
