石垣市長選がきょう告示される。
 前市長で自民、公明の推薦を受ける中山義隆氏と、新人で元市議の砥板芳行氏が立候補を表明しており、両者の一騎打ちとなる見通しだ。

 最大の争点は「市政の継続か刷新か」。
 中山氏は4期15年にわたる実績をアピール。目玉政策に台湾定期航路の開設を掲げ、台湾を含む経済圏を構築し経済活性化を図るとする。
 砥板氏は「市民ファースト」を前面に出す。出前市長室の設置で市政に市民目線を反映。物価高対策を充実し生活コストの低減を図るという。
 市長選は当初、中山氏が任期満了を迎える来年2月に予定されていた。半年も前倒しになったのは、市の公文書改ざん問題を巡り、中山氏が不信任決議を受け「自動失職」したことによる。
 改ざんされた公文書には中山氏をはじめ部長級ら16人が押印していた。市政野党が「長期政権の弊害」として不信任決議案を提出すると、与党も賛成し可決された経緯がある。
 ただ、与党はその後、改ざん問題を検証する百条委員会の設置に反対した。
 中山氏はこの間、不信任決議案が提出された時点で、自動失職から出直し選挙への道筋を与党側と確認したことを示唆している。

 根本にある改ざん問題について十分な説明をしないまま、市長と与党が示し合わせたような一連の経緯に対し疑問を持つ市民は少なくない。
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 市長も自動失職する中で改ざん問題の検証は議会、市のどちらでも行われていない。
 中山氏はこれに対し「候補者としての活動で丁寧に説明する」と述べた。
 砥板氏は「第三者委員会を設置して検証する」と訴える。
 公文書改ざん問題に端を発した不信任決議の経緯も争点となろう。
 安全保障政策についても2氏の立場は異なる。
 中山氏は陸上自衛隊石垣駐屯地の拡張について、国に確認しながら検討するとの姿勢を示す。
 砥板氏は陸自石垣駐屯地の配備には理解を示すものの、機能強化と日米共同訓練には反対する。
 市北部の漁港では先月、米軍が救難訓練を強行する異例の事態も発生。「地元漁業者と米軍による救難訓練」との申請だったが、漁業者の参加は確認されていない。しかも申請したのは米軍ではなく一般市民だった。
 市は県や沖縄防衛局に問い合わせることもなく許可しており、ずさんな対応が露呈した形だ。

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 市長選は行政のリーダーを決める選挙だ。
 この間、市で相次ぐ不祥事を考えれば、行政の透明性をどう確保するのかも問われている。
 かつてない物価高が市民生活を直撃している。
 暮らしの課題や地域のさまざまな問題にどう対応し、どう解決していくかも求められている。
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