陸上自衛隊宮古島駐屯地トップの比嘉隼人宮古警備隊長が、公道での訓練を監視していた市民に対し「許可を取ってこい」などとどう喝していたことが明らかになった。
 宮古島市内の公道では5日夜から、隊員らによる徒歩訓練が行われていた。

 そうした中、6日早朝、訓練に反対する市民団体「ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会」のメンバー2人が「いらぶ大橋海の駅」の駐車場にいたところ、訓練中の隊員ら約30人が来て休憩を始めたという。
 駐車場の一角に座り始めた隊員に対し市民は、拡声器を使って「皆さん、おはようございます。でも戦闘服姿の向こうに、きれいな朝日を見るのはとても残念です」と呼びかけを行った。
 すると、ヘルメット姿の隊長が市民の前に立ち、怒気をはらんだ口調で「(駐車場利用の)許可取ってるんですか」と尋ねてきたのである。
 市民が言いよどんでいると「じゃあ許可取れ早く。取ってこい」などと一方的にまくし立てた。
 場所は公共の駐車場だ。管理者でもない隊長がなぜそういう発言をしたのか。
 市民が撮影した動画には、詰問調で怒鳴り続ける姿が映っている。まさに「どう喝」だ。
 憲法は「表現の自由」を保障しており、その中には政治的な表現の自由も含まれる。隊長が主観に基づいて市民を追い出そうとしたのなら、表現の自由の侵害に当たり看過できない。

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 そもそも市民2人が利用するのに許可は必要ない。隊長は誤った認識で市民を責めたことになる。
 逆に利用申請すべきだとしたら、大勢で一角を占拠した部隊の側だったのではないか。駐屯地側は、市にトイレを使っていいか問い合わせたが、駐車場を管理する県宮古土木事務所には連絡もしていなかった。
 一連の対応について駐屯地は「大きな音声による抗議を中止してもらうためだった」との見解を示すが、それであれば静かに話せば済むことだ。
 動画から市民側は終始、冷静に話す様子がうかがえる。大声で怒鳴っているのはむしろ隊長の方だ。
 訓練に反対の声があることに対して隊長は「さまざまな意見に耳を傾け、丁寧に説明しながら実施していきたい」と述べていた。
 だが今回、実際の行動が伴っていたとは言い難い。
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 宮古島にはもともと駐屯地はなかった。それが「南西シフト」で配備され、さらに軍備強化が進む。
 市民に対し威圧・どう喝する隊長の姿には「おごり」のようなものもうかがえる。
駐屯地側がそれをいさめるでもなく適切だったとの認識を示すに至ってはあきれるほかない。
 配備強化に不安を抱く市民は少なくない。
 駐屯地の運営に地元の理解は欠かせないのではないか。駐屯地トップの対応として本当に適切と言えるのか。自衛隊を統括する中谷元・防衛相の見解を求めたい。
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