北アイルランド、ベルファストの取調室。ドラッグディーラーがアイルランド語でまくし立てる。
英語を一切話さないという抵抗スタイルで警察官を翻弄(ほんろう)する姿に、腹の底から一気に熱くなった。
 2022年まで公用語と認められていなかったアイルランド語。それを母語とする人々は英語を話しながらも、心まで英語に染められることを拒否し、強い意志でアイルランド語を守り続けている。
 さて、この映画の主人公たちはベルファストの中でも札付きのワル。彼らは後の人気ヒップホップトリオKNEECAP。大きな力に屈しない強い意志を、嫌みに下品におかしく、アイルランド語で繰り出す。トリオを演じるのは本人たち。反自伝的な映画の中で思う存分にやりたい放題でワルくてカッコよくてバカ。言語と人間の魂の関係性、そんな研究課題を思いついた。
(桜坂劇場・下地久美子)
◇23日から桜坂劇場で上映
【桜坂劇場・下地久美子の映画コレ見た?】『KNEECAP ニ...の画像はこちら >>
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